那津の動きは誰が見ても玄人のソレだった。
喧嘩しかしてこなかった俺には、それが空手なのかなんなのかワカンネェけど…武術の類いなのは確かだ。
攻めにも守りにも偏りなく、またどちらにも隙がない。
実際、服を脱いだ後、ソッコーで何発か殴りにかかったが受け流されているし、
軽いモノだが何発か貰っている。
「へぇ…!意外と強いんですね」
「チョーシ、こいてんなよッッ!!!!」
「っと!馬鹿力ですね、まったく」
くっそ!!むかつく!!
さっきからこんな殴り合いの繰り返しだっつの!
殴り掛かっては受け流されて、すれ違い様に一発もらう。
たいした威力じゃないが毎回的確に同じ場所狙いやがって!!
こんな消耗戦ガラじゃねぇっつのに。
「ほら…早く私を倒さなければスタミナ切れをおこしてしまいますよ」
「黙れ!!」
「残念、ハズレです」
ガタイの割にはちょこまかと動きやがる。
しかも当たんねぇわけじゃねぇんだ、相手の手によって勢いを殺されちまう。
やりにきぃったらねぇな。
「どうしました?来ないのなら…攻めさせていただきますよ」
「ッチ!!」
那津はニヤリと笑ってぽつりと呟いた。
「惨めに負けた貴方を無理矢理犯すというのもまた一興だな」
……っ、ジョーダンじゃねぇッッ!!
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