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やっと雨も上がったのに、一向に俺の足は動こうとしなかった。
変に家を飛び出して来たせいで帰りにくいってのもあるし、なにより気持ちの整理がつかないっていうか…
和雅…どうしてるかな…
俺はまだ薄暗くどんよりとした空にため息をついた。
「感心しないですね、ため息なんて」
「……?」
聞き覚えのある声に俺は振り返る、が。
「はじめまして、炎天烈火の特攻隊長とお見受け致します」
「…アンタダレ?」
佇んでいた青年には見覚えがなかった。
いかにも優等生っぽいソイツは眼鏡がよく似合っていたが、どこか胡散臭い笑みを携えている。
来ている制服はここから結構離れた名門高校のものだから…多分年はあんまり変わらないはずだ。
族関係には見えないが…
「名前を尋ねる時は名乗るのが礼儀では?」
落ち着き払ったこの態度と醸し出す雰囲気は明らかにコッチ側の人間だ。
「失礼、礼儀には疎くってねぇ〜アンタみたいにイイ頭してねぇから!」
「そうですか」
うわ、なにその笑顔。
ちょっとイラってくるんですけど。
「………将之だ」
少し顔がイイからって調子のんなよ!
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