とっさに体を庇った右腕がジンジンと痛む。
カバーしながら戦うには分が悪いか…

「ニィサンやるね〜」

さっきの雑魚とは格が違う。

「命令、ですので」

「ふーん。誰の?」

「関係のないことです」

黒に濡れた瞳が一瞬揺れてまた俺を見つめる。
黒猫を思わせるしなやかな四肢と身軽さ、鋭いと言う言葉がぴったりな喧嘩の仕方。

なにより綺麗な顔をしているのが魅力的ってか?

「どの地区の出?」

うん。
こんだけ無駄に目立ちそうな奴が居たら耳に入ってるし。
ゼッタイ他地区。

「………」

無言は雄弁な肯定。
まぁ分かったってどーしよーも無いんだけどね。

「俺は和雅、お前は?」

奴はだんまりを決め込むかと思えば意外にきちんと返してきやがった。

「ナツキ」

「………そーか」

なら、

ヤろーか。




こんな会い方じゃなかったら案外イイヤツかもしんねぇなぁ。
生憎こんな会い方しちまったみたいだけど。

「………ッシ!!」

気合いを入れて俺はナツキへと飛び掛かる。
スピードはアッチがあるみたいだがタッパと力なら負けてねぇ。
押さえつければ俺の勝ちだ!




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