「オイ、あいつ」
「炎天烈火の……、…」
「ヤッリ!一人じゃね?」
雨音に掻き消されながら微かに届いた声に、俺は反射的に後ろに飛んでいた。
直後、俺の目の前を拳大の石が横切っていく。
ビンゴッ!!
「やる〜♪」
「アリエネェだろよけっとか?」
いやいやいや!
アリエネェだろ!!石!!
当たったらただじゃすまねぇっつの。
「でも3対1より石でやられてたがよかったんじゃねぇの〜?(笑」
「言えてる!」
「兄貴か弟かわかんねーけど!一人でいんなら恐くねぇよ」
ごちゃごちゃウザッテェ…喧嘩とか気分じゃねぇんだっつの。
どこのチームだよくそ。
いいや。
こいつらで憂さ晴らしといこうか。
なぁ、将之。
「………ぁ」
俺は思わず口を押さえた。
「つ、ぶれ、ろっ!」
雑魚Aの右ストレートを避けもせず、もろに額で受け止める。
ザマミロ!石頭なんだよ俺らは!!
「まただ…」
「何ぶつぶつ言ってんだよテメェ!!」
今度は避けて、逆に顔面に頭突きを一発入れてよろけた腹に蹴りで一人終わり。
なんだよあっけねー。
こんなんじゃ俺らはつまんないじゃ…
「また」
“俺ら”じゃない。
俺は今一人なんだから。
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