*******
「あらん?雨よぉ」
店の窓に両手をついてユエは空を見上げた。
「萌黄君、傘持って行ってなかったよ」
「いけないわ!我が愛しき主がヌレヌレに!」
「その言い方はどうだろ」
確かに風邪なんかひかれちゃったら困るけど。
追い掛けて行っても間に合わないだろうしね。
「あ〜ん!ユエも萌ちゃんをヌレヌレにしたぁい!」
「俺のだからダーメ」
「じゃあ総長サマがユエをヌレヌレにしてくれる?」
「俺、萌黄君しか勃たないから」
「………」
「………」
「若年性インポ?」
「………」
まったく。
ため息一つと呆れ顔で返せばユエはケタケタ笑っていた。
俺はといえば、和雅と将之が見つかるまではコイツと二人か…なんて軽いショックを受けて。
「ユエ帰れば?」
「アン!ひーどーい!萌ちゃんの命令は絶対なのよぉ?いい子でお留守番してなくっちゃ!」
萌黄君、お願いだから早く帰って来てね。
今日は、なんだか無性に
君を抱いて眠りたい気分なんだ。
俺の、愛しい人。
prev next