俺に愛を語った男の数はそれこそ覚えていない。
セフレという割り切った関係だけを望んだ男達だって多かった。
どれにも興味がない。
だって、
俺らには未来がない。
結婚もできず
子供もできず
祝福もされない
ならば最初から『未来』なんて望まずにいればいい
俺は
女を好きにはなれない
だから
しかたないんだ
愛はいらない
恋も知らなくてもいい
全部捨てても
抱いてくれる奴がいれば
その時だけでも満たされるから。
「炎」
「センセイ」
一人で生きていきたい。
「そ、センセイからのありがたい言葉だ、よく聞け」
「………」
「同性愛にセックス以外を求めるな」
一人で生きていかなければならない。
「幸せになりたきゃな」
だって、俺は
なんの生産性もナイ
自然の摂理に反した人間なんだから
「俺を忘れろ」
炎の瞳が俺を映す。
緩やかな風に遮られ、合間を縫うように微かな声が届いた気がした。
耳を疑う程
穏やかな
『あいしてる』
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