その日の集会に、二人の姿は無かった。
「…萌黄君」
「放っときなさいよ、どちらにしたってあんたじゃ役に立たないんだしぃ」
「お前は事態を悪化させるしか能がないしな」
「なんですってぇ!ちょっと萌ちゃん何とか言ってやってよ!」
カズもマサも、家にもいなけりゃ携帯も出ない。
集会は二人揃って無断欠席。
マサはまだしもカズまで連絡がないなんて…
「ユエ、炎…少しの間店任せていいな?」
「ホラァ!萌ちゃんもこう言って!!…っへ?」
「俺、ちょっと出て来る」
「萌黄君!?」
俺が行ってどうかなるもんじゃねぇんだろうけど。
一応、年長者だし?
あいつらとは炎のが付き合いは長いんだけど、だから逆に言えない事もあると思う。
どこにいるかしらねぇけど、南から出るわけねぇし。
しらみ潰しに行きゃ当たるだろ?
『俺の幸せを全部捨てても萌黄君が欲しい』
その壁を乗り越える事は、炎には容易な事だったろうか?
すべてを捨て、俺の手を取った。
『だから』
年下の、馬鹿な恋人。
『俺と二人で生きて欲しい』
俺のただ一人の人。
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