俺はその音を知ってる。
将之の為に鳴る俺の心臓の音と一緒だ。
ちょっと待て!
「何…その反応…?」
「ちがっ!お前がいきなり来るから、っ、びっくりしたんだよ!」
待て、ちょっ、何?
都合のいい夢か?
将之が、俺を意識してくれてる。
「将之…好き」
「ッ!気色わりぃ!!」
鳴る。
「愛してる」
「和雅ヤメロ!!!」
鳴る鳴る鳴る
俺は至近距離で将之を見つめる。
将之は真っ赤になって怒鳴ったけれど、俺にはそれすら可愛くて。
「…っん」
押さえ付けた体はさほど抵抗しなかった。
「ふ、…ぅっ」
やっぱ夢かな。
ビデオ見てて俺寝ちゃったんだ。
だってキスしてるのに殴られない。
つーか、殴れよ!!!
とめられねーから!
「…ん、ックソ!ぶっ殺す!!!」
「将之」
キスキスキス。
噛み付くみたいな強引なキス。
女の子にするような優しいキスじゃない。
威嚇しあうみたいな奪い合うキス。
「、んー!ん゛っっ」
ダメだホント止まんない。
全部欲しい。
将之が欲しい。
余すとこなくすべて。
すべて。
俺に、ちょーだい。
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