俺らは似ている。
「「あ゛ーっ!」」
あんまりお互い意識しないけど。
テレビ見てたりするとリアクション被ったりして。
この俺らの似通った部分が、滅多に家に居ない親は大層好きらしい。
双子なんだから似通っててしかるべし。
だと、前なら思ってた。
最近は将之と一緒だと、一々嬉しいとかまぢ死ね!俺!!!
「和雅、ゴミ箱」
「ん」
「あと、その菓子開けよ」
「ん?こっち?」
「そっち」
ダラけてる時の俺らの距離は近い。
べったりくっついてるわけじゃないけど、離れてると菓子食いにくいから。
将之は俺が触ると殴る癖に俺に触る事を躊躇わない。
嬉しいよーな悲しいよーな、ねぇ。
まぁ、もっと悲しいのは、こんな時でも出ちまう俺の下心なんだけど。
「将之ー」
「ん?」
「リモコンは?」
「さぁ?」
「「あ、」」
リモコンは、最初っから将之の横にあったんだ。
俺は知ってて聞く。
だって俺とは遠いそれを取るなら将之にくっつけるし。
なんて、ちょっとした悪戯心だったのに―‥
「将之?」
「…!!!」
ソファーに座っていた将之を越してリモコンを取った瞬間。
べったりくっついた、俺にとっての至福のトキ。
確かに俺は聞いた。
将之の心臓が跳ねる音。
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