だけどもユエがこうして泣くのも俺の前だけだから。
その涙一粒一粒が俺を愛してくれてるみたいだ。

「んっん、ん、…ん」

今度は触れるだけじゃ無い繋がりあうキス。
お姫様にディープキスなんてはしたない騎士だな。

まぁ、もっとと舌を絡ませてくるお姫様もよっぽどのスキモノかもしれないが。

「ほら、帰るぞ」

ユエの手を引いて起き上がらせると、俺達は外へ向けて歩き出す。

「大丈夫よ、ユエちゃんってば一人で帰れちゃうから?」

「女の子にこんな喧嘩させといてあげくの果てに一人で帰せって?」

「そうじゃなくってぇ」

「じゃあ言い方を変える。心配だから送らせて」

ユエは何も言い返さなかった。
斜め後ろで少し恥ずかしそうに笑っているのは気付いたが。

女嫌いな俺がキスまでしてしまうくらいユエは大事な人間だ。
炎とは違うけど、同じ様に大事な人。

「ありがとな、ユエ」

ユエにただ一人の男が出来たら妬いちゃうよ、俺。
でもそうだな…1番に紹介してほしい。

ふと、誰かに言われた言葉だと気付いた。




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