炎の眼に俺は映ってない。
「それは誰かの変わりに抱いていいような奴じゃネェンダヨ」
俺の眼には炎しか映ってない。
「ましてや俺以外が触っていいもんじゃねぇ」
俺は上がる口端を片手で隠すと炎を見つめていた。
もう内布なんか視界に入らない。
「そいつは一生涯、俺のなんだよ」
生意気なガキ。
人の獲物を掻っ攫って、言いたい放題言いやがって。
犯してやりたいね、まったく。
家帰ったら躾直さなきゃ。
お前が俺のなんだって。
「黙れぇぇえ!!!!」
あぁ……
動かなければよかっただろうに。
「う゛ぁっ!?ア゙ァ゙ァ゙ッッ!!ア゛グゥッあ゛あ゛ぁ」
俺は冷たい笑みを浮かべ、それでも炎を見ていた。
視界の隅でうごめくソレが、ただただ潰れゆくのと一緒に。
格が違うんだよ。
お前と炎じゃ。
「炎、死ぬよソレ」
「ヒグッ…!!ぁあァ゛、い゛…ぃ゛だぁ…ッグ」
「お前が望むなら殺すぐらいしてやる」
「………いい。萎えた」
お前が人を殺しても愛してるけど、
“俺のため”なら馬鹿馬鹿しい。
“俺のため”なら我慢してでも傍に居ろ。
俺も、全部を捨ててお前の横を選ぶんだから。
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