萌黄side

倉庫内から爆竹の音が鳴った時、俺は1番奥の部屋へと舞い降りた。

爆竹はユエからの合図なわけ。
炎以外は戦闘不能、そして炎と戦闘開始したよ、って。

「待ってたゼェ?萌黄ちゃぁあん?」

「久しぶりだな内布」

「久しぶりだなぁ…、まぁ、上から来るとは思わなかったけど」

そう、俺はこの倉庫の屋根裏から来たのだ。
中はユエに任せて、その間に屋根を登り、屋根裏の窓から侵入。
後は奥まで突っ切ってアチコチに開いた穴の中から出来るだけ奥の穴から下に降りるだけ。

ぶっつけ本番だったからかなり賭けだった部分も多いんだけど、結果オーライって事で。

「熱烈なデートのお誘い、いただいたからな」

「アァ“柘榴組”?」

「そ、返して貰おうと思って…その名前」

内布はここにきて初めてニヤニヤとした笑みを消して俺を見た。

「出来ねぇ相談だな」

「相談じゃねぇ、命令だ」

「拒否する。俺はもらいに来たんだ」

「………?」

奴が一歩俺に近づいて、俺は直感的に一歩下がった。

「春日居柘榴は俺の心を奪ったまま死にやがった」

「………」

「俺はあの日から死ぬより苦しんだ。わかるか?愛してたのに…もうこの世界には居ないんだぜ?」

「………」

「だからもらいに来たんだ、柘榴がなにより大事にしていたお前を」

つくづく腐ったゲスめ。

「ナァ?春日居萌黄」




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