声にならない悲鳴をあげた和雅はそのまま喉を押さえて地に伏せる。
私はその背中を踏み付けて腕を捩上げると素早く両手に手錠をかけた。
オモチャよ、ただの。
鍵が無くても簡単に開くけど後ろ手にかけられたら、自分でとくのは難しいかもねん。
「ゴホッ…グ、ゥ…なにしやがる」
ポッケに無理矢理捩込んで来たから邪魔だったの。
使ってあげなきゃ可哀相じゃない。
「…っ!?」
喚く和雅を横目に将之にも手錠をかけて私は先を急ぐ。
悪いけど、お互いがお互いを守る様に戦うから負けるのよ。
守るって聞こえはいいけれど、男同士なら余計な産物よねぇ?ましてやこの世界で。
和雅も将之も嫌いじゃないんだけど。
弱い奴には興味が無くてぇ(笑
「………さすが、ね」
陳列棚の置いてあるスペースに踏み込んで私は軽く息を吐いた。
薄暗いけれどそこは静寂に包まれている。
「和雅と将之はやっぱり負けたか」
「まぁねん」
邪魔なマフラー等を全て投げ捨ててこのスペースで唯一立っている人間を見る。
「ユエ、退け」
「ユエ?だれそれ」
「………?」
ここの敵を倒してもなお息一つ乱さない化け物。
倒れている人間の中に自分の身内も沢山いるのに、顔色すら変えない。
残酷なオス。
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