柘榴組のたまり場は、よくある廃倉庫とは違い複雑な創りをしている。
横幅は狭いが奥行きがあり、手前から倉庫・事務室と並んで陳列棚が置かれた広いスペースがとってある。
事務室からは給湯室、トイレ、仮眠室等に繋がっているがこちらは用無し。
内布が居るのは陳列棚の奥、第二倉庫から入って左奥の扉、
応接室。
もちろん現在使われていない倉庫の中には陳列棚こそ放置してあるが他に物はほとんどない。
「窓は無く横からの侵入は無理、従って入口から奥まで突き進むしかない」
俺はユエと別れるとひたすら闇の中を突っ切っていた。
頭の中では今宵の喧嘩を思い描いて。
狙われるなら間違いなく陳列棚の置いてあるスペース、物影から一斉に攻撃し、相手の戦力を削った上での総攻撃と踏んで間違いないだろう。
「戦況はウチが不利、か」
数では圧勝なんだがこう縦長に狭くては全員の力を活かすのは難しい。
「さぁ、どうでる炎?」
負けることは有り得ない。
そんなハンデはお前には通用しないだろ?
いつもなら、20分もあればカタがつく。
でも何か忘れちゃいないか……?
「今日のお前には俺がイナイ」
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