闇夜に紛れた俺とユエは今一つのチームを見張っていた。
言わずと知れた柘榴組である。
しかし見張っているのは柘榴組の頭ではなく、柘榴組のたまり場にいる門番。
十中八九シタッパであろう見張り役だ。
「ユエ、手筈はわかってるな?」
「もちろんよん♪」
「怪我だけはするな、お前の役目は足止めだ」
「あぁんvユエちゃんってば頑張っちゃう〜!」
「聞こえてナイか」
はしゃぎだすユエを余所に、俺は遠くから地を揺るがすバイクの音を聞いていた。
「来たな」
「アッハ!わくわくしちゃう!」
音は見張っていた柘榴組の人間にも聞こえた様で、静かな夜が一気に色めき立つ。
「じゃあな、ユエ」
「我が愛しき主に御武運をv」
炎が大好きな喧嘩の世界。
俺には少し、居心地がワリィんだよ。
甘くって。
年取って、落ち着いたと思ってたんだけどな。
昔の感覚が戻ってくる。
「……柘榴」
お前が嫌いな残酷な俺。
“萌黄にも命を懸けれるような相手がきっと出来る”
オゥ、出来たよ柘榴。
すっげぇ馬鹿な愛しい恋人。
“そん時は”
お前とは似ても似つかないけど、少し、ほんの少しだけ…
“俺に一番に紹介しろよ”
…お前に似てる。
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