そして、今に至る―…。
「相手は今から約十日後、日が暮れてからうちとの総力戦を挑む気よん」
「そうか」
「でもん!うちのチームはその前に仕掛けるみたぃ」
ふん、炎らしいな。
奇襲と殲滅、炎の得意なやり方だ。
一見、卑怯なようだがその実は真正面から力と力でぶつからなければならない、実力を伴うやり方。
「ユエ、俺と来てくれるか?」
悪いな、炎。
「いっまさらでしょお??私の体は髪の毛一本から意志まで全て、主のものなのにぃ」
「ククッ、お前の口から聞きたくて」
「……もぅ!!!」
ユエは珍しく長めのスカートを翻して俺の足元にひざまづく。
そして恭しく俺の手をとると軽く口づけた。
「貴方に名を与えられてから、私は貴方の手であり武器です」
「…!」
「この命果てるまで」
ユエは掌に軽く口づけた後、俺をまっすぐ見つめる。
「願わくば、貴方に求められ続ける事を」
クスクス笑うユエは強いが優しい瞳をしていた。
まるで全てを許すように。
「っし、行くか!」
「はい」
「狙うは頭のみ、雑魚は捨て置け」
効率よく行かせて貰おうか。
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