「すいませんねマスター“大事”なお客様に」
「フフッ、いいんだよ萌黄君煩わしかった事だしね」
マスターはにこやかに笑って和雅を見る。
「それより、彼は縛り上げるセンスがないねぇ」
「……ぇ?」
和雅に縛り上げるセンスがあっても、俺は正直気持ち悪いと思うが…
「どれ、君。貸してみなさい手本を見せよう」
マスターは奥へときえると、ビニール紐ではなく本格的な縄を持ってくる。
あーぁ。
マスターの悪い癖が始まったよ。
「見ていなさい、初歩的な事から教えてあげよう」
「えっと…あの…?」
「いいかい?縛りの基本はあくまで緩みなく、かといって締めすぎず」
「はい?」
「縛り、とは愛なんだよ?傷付ける目的はないんだ…束縛を体現し、また視覚により芸術的欲求を満たす至高の愛撫」
「ふくちょ…助けて」
すでに彼方の住人になりつつあるマスターをよそに困惑する普通嗜好(和雅)。
ワリィけど俺無理だよ?
止められる気がしねぇから。
「解るかい!?ここを通すとこっちがビクンと動くだろう!?」
「いゃ、だって縄繋がってるし……当たり前…」
「フッ、当然か…最近の子は進んでるな、おじさん久々に燃えて来たよ」
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