一般人Aはパーカーのフードを深く被り…といっても、次々と柘榴組のやつらを倒してくれちゃってる状態じゃあ顔も見えてるんだけどね。
だって俺、何もしてない傍観者だから。
「クソッ!!二人いやがったのか!ずりぃぞ!!」
「退くぞ!!」
喧嘩の中に生きるならしてはイケナイ事がある。
そう、
「させるかっての!」
敵に背中を向けること。
一般人Aは逃げかけていた奴に跳び蹴りをかまし、着地と同時にもう一人へ回し蹴りを決めた。
動きは雑だが無理矢理力で捩伏せている。
完全なパワータイプ。
「ご苦労様、一般人A」
最後の一人が意識を落としたのを確認して俺は一般人Aに労いの言葉をかけた。
暗に暇だったとふて腐れたのだが。
「ナンスカ…一般人Aて」
「気にするな」
フードを外してこっちを見てくる人間はよく知った顔で…
まぁ、どうでもいい奴だった。
「気になりますよ!」
「とりあえずこいつら縛り上げておけ、和雅」
「エェッ!?なんか扱い酷くないっすか?」
ぐちぐち言いながらもマスターがくれたビニール紐で縛り上げていく和雅。
きっと心配性の炎が先に和雅を此処へ送ったのだろう。
………チッ、余計な事を。
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