「内布(うちぬの)って昔いたじゃないですか…“あれから”どうしてるかと思って」
店内の客がざわめく、
どうやら柘榴組の人間がここに出入りしてるって噂は当たりか。
まぁ、下っ端ではあるが…
「一時見なかったけどね、最近はちょくちょく此処にも顔を出して…コチラさんも内布君の連れだ」
「どうも」
俺のにこやかな挨拶に相手も面食らったのか微妙な反応だ。
「内布は元気?」
そりゃそうだ。
こいつらだって知ってる…
「なんの目的で南へ流れて来た」
俺が、敵だってこと。
そして彼等は困惑している。
敵である俺が単身乗り込んで来るなんて予想外だったからだ。
対処法がわからなければ?
「クソッ!!なめやがって!!潰す時期が早まっただけだやるぞテメェラ!!」
そう、潰せばいい。
イイネェ若いもんは、行動が単純すぎてお兄さん笑っちゃう。
「笑ってんじゃねぇよ!!」
5人、か。
俺はのらくらと避けつつ呑気な事を考えていた。
負けたら笑えねぇなぁとか?
「グァアッッ!!」
不意に一人が悲鳴をあげて俺の方へ吹き飛んで来た…彼は後ろから蹴られたのだ。
今まで、店の奥で飲んでた一般人Aに。
prev next