どんな経緯でついたのかは知らないが、『柘榴』っていうのは俺にとって大切なもの。

だから調べに行くんだ。

「柘榴…ねぇ」

チームの名前にしては不自然だし、何よりチームの中に見知った顔が一つあったから…
昔うちの店によく来ていたんだ。

大嫌いだったヤツ。

それこそ炎が客で来ていたぐらいに昔の事だけれども、はっきり覚えている。

いつも気持ち悪い笑みを浮かべてうちのマスターを口説いていた。
勿論俺じゃない、前のオーナーの事だ。

「むなくそわりぃ」

俺は一軒のバーの扉を乱暴に開きながら呟く。

中には数人の客が居て、俺を値踏みするかのように見ていた。

「萌黄君かい?珍しいじゃないかそんな恐い顔をしてどうしたんだい?」

そんな視線を遮る様に奥から軽快な声がした。
この店の主人だ。

「お久しぶりですマスター、今日は少しお話を伺いたくて…」

「私にかい?」

「ええ、大分昔のことなのですが」

マスターはとても40過ぎているとは思えないくらい若く、優しい笑顔をくれた。
昔から不思議とこの笑顔に癒されたものだ。




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