静か、だった。
集会とは思えない程、誰も口を開かなかったからだ。
「今まで北区で力をつけて来た『柘榴組』というチームが南へやってくるらしい」
炎がいつもより低い声で空気を震わせる。
怒りを含んだ心地よい響き。
ま、俺だけだろうけど。
「遊んでやれ」
炎の目は闇より暗かった。
彼をこんなにも怒りへと駆り立てたものはなんだろうか?
なんて、ね。
答は単純。
「ワリィけど炎、今回ばっかりは俺、留守番にはまわんねぇから」
俺が、キレているから。
「………」
下の人間達は何も言わない。
もとより上についてきてくれるつもりなんだろう。
炎の咎める様な視線にだって気付いていたけれど、俺にだって譲れない時がある。
「大丈夫ダロ?炎、すぐ終わらせる」
もちろん炎が店の心配をしたわけじゃないのはわかってるが…
「……必ず、俺の側にいろ」
なんだよその顔。
戦争に行くんじゃネェンダヨ、
虐殺しに行くんだ。
だから、炎と言う名の枷はイラナイ。
「結構だ、ユエがいる」
お前は、優し過ぎて
俺まで甘くなってしまう。
大好きな炎。
お前はこんな俺を知らないでいい。
prev next