後ろでバイクの音が遠ざかって行った時には既にこっちは片付いていた。
廃材の後に隠れた惨めな総長は、私の一発で気を失い呆気なく幕は降りた。
「昼間って中々慣れないのよねん、夜に出歩く事が多いしィ」
大して埃など付いていないが可愛らしくはたいてみたりして、
「これで当分は萌ちゃんの目障りになる馬鹿はいなくなるでしょんv」
髪の毛もきちんと整えて、リップをぬって私は後を振り返った。
「悪いな、ユエ」
愛しき我が主がいる方へ。
「ぜーんぜんッ♪主のダァリン達もからかえたしぃー大満足☆」
せめて少しでも綺麗に映るように、精一杯の笑顔で、あぁ、どうか…
どうか、愛しき我が主よ
そんな顔をしないで。
「ユエ…」
「ありがとうもごめんもいらないわ!私は貴方の者として当たり前の事をしただけよん」
言って。
わかってるから。
「私は炎天烈火、副長の懐刀よ?主の言うことなら何でも聞くわ」
それが、何だって…
「ユエ、頼みがある」
そう、お互いが傷付く事になったって…
「主の御心のままに」
所詮、夜にしか咲かぬ花。
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