俺は勢いを殺し切れずに壁に突っ込む前にUターン、来た道を少し戻った所で停車した。
「ったく!何なんだよユエの奴」
角を曲がったせいでここから空き地は見えない。
意味わかんねぇし、もどっ――‥
「和雅ッ!!!!」
「‥―将之!!!!」
ナイスタイミングで現れたのは鈴と将之。
どうやら同じ所へ行き着いてしまったらしい。
「ユエは?」
「ぁ、奥の空き地に…」
「ハァ?お前まさか一人でやらせてんの?」
「まさかッッ!!ユエが帰れって…いや、帰る気はねぇけどお前ら来たせいで行くタイミング無くしたっつーか」
鈴は何か言いかけた将之の口を塞ぐとバイクからけり落とす。
それから俺に目線も寄越さず言葉を吐いた。
「ゲームオーバーってか、和雅、ソレ連れて帰れよ」
「おい、鈴?」
「ユエは最初から鬼ごっこなんてするつもり無かったんだろ、邪魔者をまいて一人で片す気だったんだ」
「意味わかんねぇー」
「じゃあ俺ら出て来ただけ損、みたいな?」
鈴は静かに笑って、今回だけだと吐いてバイクを蒸した。
まぁ、ユエはこんな時じゃないと表に出てこないしな。
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