「ユエ、総長どっちに行ったんだよ?」
バイクの後に跨がったユエは、俺の腰に手を回して身を乗り出す。
「そこ左ぃ☆」
「お!よく見てんじゃん」
「に、行くと可愛いラブホがあるのんv」
「ウオィ!!」
キャハハ!と、笑うユエは冗談だと言うけれど、確かに可愛いラブホがあったりした。
もちろん素通りしたけど。
「やっぱバイクは後に乗ってないとつまんないわよねん!女の醍醐味よぉ」
「そーゆーもんかぁ?」
「そぉよ!ダーリンの後に乗るなんてお姫様みたいじゃない」
「俺はお前の彼氏じゃねぇし、姫さんは喧嘩なんかしねぇよ!」
何がそんなに嬉しいのかユエは俺にしがみついてケタケタ笑っていた。
「和雅と将之は全然似てないのねぇん」
「あ?一卵性ナンダケド」
「性格の話よん!あ。そこ右に曲がってぇん」
「右?でもこの先は…」
行き止まりじゃ…
てゆーか空き地に廃材が置いてあるだけだった気がするけど。
「いいから突っ込んで!私は飛び降りるからテキトーに帰りなさい」
「え?」
意味がわかんなくて問い返そうとした時にはユエは俺から手を離し、空き地へと降り立った所だった。
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