2013 Halloween | ナノ


eat me ! (2013 Halloween)

ただいまと言ったリヴァイに、まだ幼い弟のエレンは駆け寄ってきて抱きついた。
「おかえりなさいっ」
愛くるしい笑顔で言うエレンの頭をわしゃわしゃと撫ぜて、リヴァイはエレンを抱きかかえる。玄関にある靴を見る限り母親の靴は見当たらないから、大方買い物にでも行っているのだろう。
エレンは嬉しそうにきゃっきゃと笑ってリヴァイの肩に顔をうずめた。肺いっぱいにリヴァイの匂いを吸い込もうと息を大きく吸ったが、いつもと違う匂いがして、ああ外の匂いかと思う。だけれど、それとは少し違う匂いも混ざっているような。
「おにいちゃ、おそとのにおいがする!でも、なんか、あまいにおいもする」
リヴァイは鞄を置いて洗面所に向かいながら返事をする。
「今日はハロウィンだったからな。クラスの奴らがお菓子だなんだと食べてたからじゃないか?」
一度エレンを下ろして手を洗いうがいをして、それからまた抱き上げる。
「はろうぃん!きょう、オレのクラスでもせんせいが言ってた。お、おばけがおはかから来るんだろ…?」
怯えた色を写す金色に安心させるように腕に力をこめて、ぎゅうと抱きしめてやる。どんな先生だ、まだ小学校一年生のこんなかわいい弟に怯えさせるようなことを教えたのは。子供なんだからトリックオアトリートの意味とお菓子をもらえることぐらいしか教えなくていいだろうに。
エレンをリビングのソファに下ろして、リヴァイもその隣に座る。
「大丈夫だ、エレン。おばけは来ないし、俺がそばにいるから。
それよりも他になにか言われなかったか?」
彼の優しい茶色の、ふわふわとした髪をゆっくりと梳きながら言う。エレンはそれにくすぐったそうに笑いながら、またリヴァイの体に両腕を回して答えた。
「とりっくおあとりーとって言うとおかしがもらえるっていわれた!!そうだ、おにいちゃん、とりっくおあとりーと!」
こうなることは予想していたし、エレンにはお菓子をあげようと思っていたので、玄関に置いてきた鞄に入れたクッキーを取りに行って、エレンに渡す。するとエレンは「ありがとう、おにいちゃん」と満面の笑みで言うものだから、ついつい愛おしくてその柔らかな頬に口付けた。エレンは照れたように色白の肌を桃色に染め上げて、ちらと横目でリヴァイのことを見てから、もらったクッキーの封を開けた。
「いただきます…わあ、かわいい!」
キラキラとその目に光を反射させて無邪気に喜ぶエレンの姿を見て、リヴァイも自然と頬がゆるむ。
リヴァイがエレンにあげたのはカボチャの形をしたクッキーで、表にはチョコで顔が描いてある。エレンは嬉しそうにさくさくとクッキーをかじっている。
「おい、こぼすなよ」
ローテーブルの上に、こぼれたくずをまとめる。エレンはその白い喉をこくりと上下させてから、ありがとうと微笑んだ。彼の口の端にクッキーのくずがついていたので、リヴァイは指でぬぐってやった。それをぺろりと舐めると、エレンはリヴァイに食べかけのクッキーを差し出した。
「おにいちゃんもたべよ?」
ん、ん、と短い腕を伸ばしてリヴァイの唇にそれを押し付けるので、リヴァイは口を開いて一口かじる。おいしいでしょうと笑う弟に、そうだなと返事をする。確かにそれは一口だけなら甘すぎることもなく、我ながらいい選択だったとリヴァイは自画自賛した。
口を動かすリヴァイを見て、エレンはにこにこと笑って自分もクッキーを食べる。そのうち全部食べ終えて、エレンは指をちゅぱ、ちゅぱと音をたてて舐めてから、もう一度リヴァイに笑いかけた。
「おにいちゃん、くちびるについてる…ちがう、そこじゃない、オレがとる」
エレンはソファの上に立ち上がって、リヴァイに顔を近づけた。
エレンの長いまつげが、リヴァイの頬に触れる。
柔らかな幼い指が、リヴァイの唇に押し当てられて、その指はエレンのぽってりとした唇に行きついた。
「ねえ、おにいちゃん」
弟は急に雰囲気を変えて、なにやら妖艶になる。
エレンはリヴァイの耳もとに口を寄せて、ふわふわと吐息を漏らしながらこう囁いた。
「オレ、おかしもってないんだ。トリックオアトリートって、おかしをくれなきゃイタズラするぞっていみなんだろ?ねえ、トリックオアトリートって言ってよ。それでオレに、イタズラして?かあさん、いまちょうどでかけてるから」
リヴァイはエレンのその言葉に、もはや自制などしていられなかった。エレンの後頭部に手をまわすと、自らの唇と弟の唇とをくっつかせて荒っぽく口付ける。自分の手のひらにちょうどフィットするような弟の頭の小ささも、唇を合わせる角度を変える度に漏れる悩ましい吐息も、リヴァイの制服をぎゅうと握る小さな手も、全てが全て愛おしかった。
「なあ、エレン」
一旦唇を離すと、リヴァイは囁いた。
「これから、俺の部屋にくるか?それとも、ここがいいか?」
エレンはその金色を涙で薄くぼやかして、上気した頬をもっと赤らめて、「おにいちゃんのへやがいい」と小さく囁いた。

131031 こまち(あなたのくちびる。)
HAPPY HALLOWEEN!!

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -