いただきもの | ナノ




子犬に付けた金と銀

「ひ、あ…っ」

暗い部屋の中はカーテンの隙間から零れた光が青白い筋に。最近は激しく冷え込む事によりきっちり隙間を残さずカーテンを締め切った筈だったが、何時の間にか僅かな隙間が生まれていた。恐らく自分以外の誰かが換気をしたのだろう。部屋へ足を踏み入れた時空気が冷たかったな、と状況の割には思考は別の方向へ向いている。そんなエレンを見透かした銀色の瞳が歪んだ。


「なあ、何考えてんだよ?」

「ん、っ…、…な、にも…ぁ!」

「ふーん…」

「っふぁ、あ、まって」

「エレン」

「何…っ?」

「嘘吐き」

ぐに、と濡れた先端を指先で押しながらエレンは眼下で揺れる身体にじっと視線を落とす。息が詰まる音と同時にシーツに頭が沈んで、ぱさりと髪の毛が布を叩く音。熱い息がせり上がっては喉をじんわりと温め滑り出て。
への字に下げられていたエレンの口許が歪んだ視界の端で幾らか上へ動いたのが見えて、少し安堵する。けれど、楽しそうに粘ついた掌で上下に擦られればどろりと下腹部が混ざり。


「んッ、ぁ、あっ…ぁ」

「気持ちいい?」

「っふ…ひぅ、あぁ…」


エレンに覆い被さる様に上体を屈ませればその分だけ体重移動に伴ってベッドの軋む音が静かな部屋でやけに重く鼓膜を打つ。目と鼻の先まで近付いた銀色のエレンの瞳に身体が疼いてエレンは思わずこくりと唾を飲んだ。
目を合わせれば動けなくなってしまうくらいに妖艶な銀。星にも銀糸にも見えるそれは青白い月の光を受けてより深く色付き艶やかに煌めく。はっきり言って食べてしまいたい、そんな風にふと頭に浮かんだ思いに直ぐに後悔した。

「どうなんだよ?」

「…っ、ぁ、や、やぁ…」

「美味しそう、って顔してるけど」

「ひぁ、あぅ…、いい、からっ…きもち、ぃから!」


にち、と恥ずかしくなる様な音が耳を犯して、けれどそれを羞恥として処理する程のまともな思考は焼き切れて上手く働いてくれない。だから口から出るのはただ快楽に素直な言葉だけ。エレンの白い指が自分のものでてらてらと光るのは目に毒で、ふ、と頭が白く。
瞬間頭がどうにかなってしまいそうな程の甘くてくらくらする感覚。自分が自分でなくなる様なそれは、正しく毒だ。


「っあぁ…、はぁ、ん!」

「あ…」

「ふ、ぁ…、えれ…」

「良い子だな」


ぬるりとした感触が太腿や腹に纏わり付いてその不快感に眉を寄せてエレンは息を吐き出す。でも達する時にエレンが言った言葉は何時もあの人がくれる言葉で少し胸が締め付けられる。
嫌に熱い身体に冷たい外気が心地良い。それも束の間にエレンが脱力した様に全体重を預けくれば、怠い身体には辛く持ち上げた手で首筋に擦り寄っている頭を軽く叩いた。
んう、と甘えた様な声をもぞりとしながら発したエレンに重たいと言えば。


「だって、寂しい…」

「オレだって寂しい」

「リヴァイさん早く帰って来ないかな」

「良い子にしてるから早く帰って来てくれる」

「でもエレンは、こんなことしたもんな」

「っうるさい!」

「大丈夫リヴァイさんには言わないよ」


仕事の都合で出張中のリヴァイに寂しくなり、彼との日々を思い出していたのだが厳しい様で優しいとこだとか、ご飯を作る姿だとかそんな事を綺麗にこなす姿を頭に浮かべれば次第に一緒に寝た時の事まで。何から何まで思い出した結果、馬鹿みたいに反応した身体。それは否定出来ずに、同じ様な状態だったエレンと慰め合った。


「あー…遅い…」

「…ふ、んぅ…っ!」

「リヴァイさん」

「何処触って、ん、ぁ、っエレン、こらっ!」

「さすがにこれ以上はしないって」

「あたりまえ、だろ…、もう寝る」


するりと尻の間に潜り込んだ指先に身体をびくつかせながら、抵抗すると元々それ以上何かするつもりは無かったエレンは何事も無かった様にそのまま掌を上へ滑らせると肩へとく。反対の肩にちう、吸い付かれ唇で食まれ。 

「…、ん」

「なに?」

両腕を広げるとすっかり潤んだ銀色がまじまじと不思議そうに見詰めて来る幼い仕草に何だか気が抜けそうになる。


「一緒に寝るぞ」

「…わかっ、た」


ふにゃりと綻んだ顔に自然とエレンの目尻も下がった。犬みたいに飛び付いたエレンの髪の毛を指に絡めながら、その温もりに腕を回す。何だか、リヴァイがそこに居る気がして、心がぽかぽかとしたもの満たされれば、すっかり顔を出した睡魔に視界が完全に暗くなった。



なんでもないのに頂けるとか幸せすぎて死んでしまいそういえ寧ろ死んでしまえる。採さんありがとうございました…!いつもエレエレを書かれると私にくれるとかちょっと甘やかしすぎて蕩けてしまいます笑
採さん大好き!このお礼は必ずや…!!

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