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白雪姫、キスをしたら目覚めるの?

※死ネタ、ハンジさん一人語り



巨人との戦いは終わった。人類は勝利し、人々は喜びに湧いた。
それでも、やはりヒトはヒトで、なにか憎しみを向けるものがないと生きていけないらしい。兵士たちの戦いを何も知らない民衆は、人類最強を持て囃し、人類の希望を処刑した。

エレンが民衆の手によって殺されて、ミカサは発狂し、アルミンは部屋から出て来なくなり、リヴァイだけは普段通りの生活を送っていた…ようにみえた。実際は、リヴァイは普段通りに振舞っているだけだった。彼の目から光は消え失せ、潔癖でいつも人が住んでいないのではと疑うほどの綺麗さだった部屋は荒れくれ、しかし人が体に触ると病的な程に水と石鹸で何度も何度もこするように洗った。元から彼と喋る人は少なかったが、今では私とエルヴィンだけになってしまった。

ここまで変えたのは、先程述べたとおりエレンの処刑だ。あの日からリヴァイはおかしくなった。ミカサは発狂したと言ったが、もしかしたらリヴァイの方が酷かったかもしれない。
こんな結果になったのは私たちがエレンの処刑を止められなかったからだし、責任を感じる。だからこんなことは言ってはいけないと思うのだけど、やはり考えずにはいられない。

エレン、帰ってきて。どうかリヴァイと一緒にいてちょうだい。彼の目に光を取り戻させて、幼馴染たちを安心させて。私たちにどんなに辛く当たってもいい、だからどうか、帰ってきて。
それが、叶わぬことだとは知っている。分かってはいない、もしかしたら生き返るんじゃないかと、夢だったんじゃないかと毎日街や墓地や壁外に行っては貴方の姿を探すのだから。

ああどうか、どうか神様、いるならば。そして来世があるならば。
どうか二人を、来世では幸せにしてやってください。しっかりと、二人を繋ぎ止めて下さい。


130802 りーく
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