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覚悟しておいてよダアリン

だって兵長、オレの目好きでしょう。そう言った唇は愉悦にか、ただ単に笑顔のためか、ひどくゆがんで見えた。
ああ、俺はお前の目が好きだ。どうしようもなくお前が好きで、でもその眼が1番好きだ。感情を全部そこに映して、俺の姿をそこに映しているその眼が。蜂蜜色のそれはきっとでも切り取ったら何も映さなくなってしまうから、だからそのままお前のものであってくれ。
もしお前が眼をくり抜いてそれを俺にくれたとしてもそれはもはやただの物体になってしまってもとの美しさはうつせないだろう。けれどもし、くれるというのなら喜んで頂こう、お前のものだったそれはやはり美しいだろうから。
でもでも、駄々をこねる子供のように。お前の全てが欲しい。今のままで。しかし俺のものになったら、今のままとは言えなくなる、どうしたらいい?

だから俺はお前を野放しにしておくんだ、悩んでいる間だけだ、もし決めたら即行動してやるから覚悟しておけよ。どうなるかなんて、俺にも分からないが。もしかしたらその目だけくれと言うかもしれないし手足も切り取ってと言うかもしれないしどこかに監禁しておくかもしれないし、このまま俺から離れてくれと言うかもしれない。どんなことを言うか分からないんだ、自分でも。でもなんだ、そう、とりあえず覚悟しておけよ。


130720 りーく
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テーマ「人外ファンタジー」
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