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アイス

風呂からあがって下着だけ履いてストーブに向かうと、妹のエレンが冷蔵庫の前でごそごそしているのが見えた。なにやってんだあいつ。しかもノースリーブとパンツとか寒そう。いや寒いだろしかも冷蔵庫…いやあれは冷凍庫か。冷凍庫をがさがさ漁ってるし絶対寒い。ああストーブあったけえ。
うとうとと柵にもたれかかって目を閉じていると、隣でぺりぺりと何かを開ける音がした。目を開けて見ると、エレンがアイスの袋を開けている。ガリガリくん。
オレの方を見てから、おもむろに大きく口を開いてアイスを咀嚼し始めた。
しゃく、しゃく、しゃく、
アイスを噛む音が響く。背中が熱くなってきて、今度は顔をストーブに向けた。素肌に当たる熱の感じがなんとも言えず、好きだ。
しゃく、しゃく、しゃく、
アイスを噛む音は続く。
「さむくねーの」
何も話さないのもなんだかなあと思って話しかけると、エレンはちらりとオレの方を見て答えた。
「ストーブの前で食べるアイスは格別なんだよ。知らねーの兄貴」
「いやちがくて、そのカッコ。つかお前…」
自分でエレンの格好のことについて触れて、改て彼女のことを見て思う。
「胸、ねえなあ」
しみじみと。いや、そう感じただけで別に傷つけようとかそういうわけじゃない。だって、ほんとにまな板みたいなのだ。なんもない。ブラもつけてないから、盛られてすらいない。真っ平ら。
「はあ!?ばっかじゃねーの兄貴、ああもう嫌いだわ。だからカノジョできねーんだ。さいてー」
溶け始めた水色のアイスを舐めながら、妹は蔑んだ目でオレのことを見る。そんな目で見ることないじゃないか。しかもカノジョができないって、まだ前の彼女とは別れて一週間ですけど!
「なんでそーゆー話になるんだよ。そういうお前こそそんな胸だから男が寄ってこねーんだよ、ちなみにオレはこないだ彼女と別れたばっかだし。何人目だか忘れたけど」
「寄ってくるし!うっせーの寄ってきてるけどなびかないだけだから!オレは高嶺の花なんだよ、このインポ。どうせカノジョにフラれて別れたんだろ」
「高嶺の花とか自分で言うもんじゃねーから。つかお前が高嶺の花とか何?世界はブスでまな板な胸の女しかいねーの?オレはフラれてませんフったんだよ残念だなブス」
「ブスブスうっせーよ性器極小野郎。ブスっつってっけど兄貴も同じ顔してるから。ばかじゃねーのばーかばーか」
うっぜえええええ!女だからか、口がよくまわる。
もう言い返すのも面倒になって、ほとんどなくなったアイスを、最後の一口をもらう。裸の肩と肩が少しだけ触れる。突然のことにびっくりして動かないエレンは、ただ最後の一口をオレに奪われるのを眺めるだけだった。ざまあみやがれ。
「あ…あ、オレの最後の一口が!」
「ごっそーさん」
嫌味ったらしくにやりと笑うと、エレンは頬を膨らました。
オレは立ち上がって、パジャマを着に部屋に向かう。口の中には甘ったるいアイスの味がじっとりと残っている。


131201 こまち
エレンちゃんは妹とは正反対の子とばっか付き合ってみたりして、妹のエレンちゃんはそんな兄貴が気に入らないけど男は作らないみたいな。実は両片想いですみたいな。うめえ
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