俺、普段からパソコン触るの好きやから、あの日も夜中まで音楽聴いたりサイト見たりしとった。一段落着いて時計見たら、夜中の2時過ぎ。

んで、朝練あるからいい加減寝なと思ってベッド入ったんやけど、中々寝付けへん。せやから携帯弄りながら眠気待っとった。

したら何処からとも無く「カサカサ」っちゅーか「ザラザラ」みたいな妙な音聞こえて来てん。
蛾でも入ったんかなー思うて振り返ったんやけど、俺の携帯の明かり以外は何も見えへん真っ暗な部屋。

風も吹いとったし、気にする事でもあらへんなって携帯に向き直ったら、おった。



携帯の真後ろ。寝転がりながら左手で携帯弄っとったから、中途半端な位置に浮かぶ女が俺を見とる。

携帯の明かりでぼんやりと見える女は黒目がやたらデカくて、アルファベットのOの形に開かれた口には歯がなかった。

そいつは首を普通の人間にはありえへん程傾け、それに伴って長い髪の毛がベッドに擦れて「カサカサ」と衣擦れを起こしとる。さっきの音はこの音やったんや。

俺は思わず



「抜け毛ヤバいな自分」て文句言うたった。



したら女が急に首を元の位置に戻したから、俺は続けた。


「まあ時期が時期やからテンション上がるのも分かるわ。出来心やったんやろ?せやろ?
…おん、ならええわ。けどな、お前場所考えろや。ここベッドの上やで。こんな抜け毛まみれの枕でお前寝れるか?あ?寝られへんやろ?寝られへんよな。

しかもさっきお前ザラザラって何の音かと思うたらアレか、床の上にまで髪垂らしながら来たんか自分。俺が中々気付かへんから痺れ切らしたんか。アホか。お前が痺れ切らしてどないすんねん。

幽霊っちゅーのは恐怖を煽って煽って、焦らして最後にドンやろ。お前基本も教わらんかったんか。」



もう正座しながら俺の説教聞くコイツがいたたまれなくなってな、「基礎叩き込んだる」って一緒にホラー映画見たわ。一生懸命メモ取ってたから、きっとコイツは努力家やねん。ほんのちょっと背中押してやれば伸びる奴やねん。

最後は「コイツ驚かしてみ。俺からの試験や」ってうちのテニス部の足速い先輩の住所教えたった。


朝に、先輩が涙目で「夜が怖い」言うてたから成功したんやろな。





そんな俺とアイツの友情物語や。




カサカサ
 



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -