「私はとんでもない事に気付いてしまったよ、財前くん」
「え、何?音楽聴いてたから聞こえへんかった」
「私はとんでもない事に気付いてしまったよ、財前くん」
「何回も言わんでええですわ。ウザいんで」
「お前、それは余りに理不尽だ」


昼休みにわざわざ二年の教室にまで報告に来る程の内容なんやろか。仕方なしに俺はイヤホンを外して音楽プレーヤーを止める。


「で、なんすか」
「見てよコレ」
「…」


先輩の手に握られていたのは、英語辞書。俺ら二年も使うとる分厚いやつや。


「これが?」
「国語辞典と間違えて持って来ちゃった」
「で?」
「国語辞典貸して」
「もう先輩ホンマKSですわ」
「KS?」
(空気)(吸うな)の略っすわ」
「死なない!生きる私!」


何で事典借りるだけなのに英語辞書持って来て説明すんねん。ほんまワケ分からんヤツや。予鈴が鳴って焦り出した様子もカニが暴れとるみたいで不気味やった。


「授業終わったら返しに来て下さいよ」
「有難う有難う!帰りに何か奢るから!」
「善哉がええ」
「わかった!」


俺の国語辞典を大事そうに抱えて廊下を走って行った先輩を見送っていると、何で俺あの人と付き合うてんやろと素朴な疑問が浮かんだ。














ふと考える。
笑顔は可愛えけどな。









END.

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よく教科書とかジャージを隣のクラスの友達に借りたなぁ



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