「光、大変だよ。パソコンが壊れた」
「は?」


テスト明けの部活もない昼過ぎ、部屋でくつろいでいた俺の元に喧しい姉がやってきた。


「は?じゃないよ聞こえなかったの?パソコン壊れたんだって」


何の報告やねん。しかもノックせぇへんかったなコイツ。いつもノックしろ言うてるはずやのに。
腹立ったからあからさまに嫌な顔をしてやった。どうせ直せ言うんやろ。そもそも俺は便利屋でもなければ電気屋でもあらへん。テスト明けを喜ぶごく一般的で健全な男子中学生や。


「知らんわ」
「冷たい。光は超冷たい。いいから来て」
「え、なんで」


何て言われるかはもう理解出来とるけど、自分から行動するのは嫌やし何より面倒臭い。


「直してよ」
「忙しいねん」
「その手に持ってるのはなんだ」

「ゲームのコントローラー。お前そんな事も知らんのか。パソコンより先に頭治した方がええんちゃうか」
「煩い早く来い」


ああもうホンマに面倒臭い。テレビの前から強制的に引きずられて姉の部屋に入る。くっさ、なんやこの甘ったるい香水。ホンマ趣味悪いわ。


「画面が見れないの」
「…ちょお退け」


試しに液晶ディスプレイのコードを抜いてもう一回挿してみる。すると、なんや誰が誰だか分からへんやたらとメンバー多数のアイドルグループがデスクトップに映し出された。ここのグループに誰か一般人混ぜといてもバレへんのとちゃうか。


「ただの接触不良や」
「うっわ!映った!光凄い!」


大はしゃぎする姉の前を通り抜けて部屋を後にする。ホンマ、コイツにパソコン作ってやらなければ良かった。アフターサービスまで全部俺任せとかホンマなんやねん。ちょっとは自分で調べろやアホ。


「光ありがとー!天才!大好き!」


とか思ってたら後ろから抱き着いて来て頬にしつこい程キスされた。
このウザさ、メジャー級。


「後で善哉献上せえや」
「買ってくる買ってくる!」




いや、いい加減キスすんの止め。





END.

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脱力系男子、財前光。



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