「謙也さん、やっと明日…」
「い、言うな光…!!緊張するやろ」
「自分で二週間前に教えに来たんやないですか。名前とデートの約束したって
あぁぁぁぁ!!!!言うた!!アッサリ言いおったでコイツ!!!!うわっアカンめっさ緊張して来た…」
「どんなヘタレっすか。大体、付き合って長いくせに明日が初デートとかダサいっすわ」
「やかましいわ!名前は純情なんやで!そないいきなりデート誘ってビックリしたら可哀相やないか!」




うふふ顔真っ赤にしてる謙也ちょー可愛い!!
でも私が純情って考えは今すぐドブに捨ててくれたら嬉しいな!!





















隣のクラスの忍足謙也に告白された時、不覚にも私は「ラッキー」と思ってしまった。
だってそうだろう。イケメン揃いで有名なテニス部の一人にいきなり呼び出されて告白されりゃー誰だってそう思うだろう。

生まれてから今まで、学校でキャラ作りしてた甲斐があったってモンよ。謙也ファンざまぁ。
しかし、何故あまり話した事もない私なんかを好きになったんだろうか?特別仲が良かったわけでもないし。人違いだと可哀相なので、謙也に聞いてみた事がある。



「や、やって…名前は優しいし…2年の学校祭の時の事、覚えてへん?」



全然。なんて言うときっと彼は傷付くんだろうな。っていうか学校祭?サッパリだよ。本当に人違いじゃなかろうか。
覚えてないものは仕方ないので、謝って続きを聞いてみる事にした。



「ほら、俺ら女装喫茶やってたやん?そこでめっちゃ恥ずかしがってた俺に、『足元スースーしない?』てカーディガン貸してくれたやんか。
さりげなく気遣かってくれてホンマ嬉しかったんやで。」



そういえばそんな事もあった。恥ずかしさで真っ赤になりながら教室の片隅に佇む謙也がいたたまれなくて、気まぐれに話し掛けたんだ。

…とまあ、謙也を射止める事に気付かないまま告白された私ですが、困った事に彼は私を『何の汚れもない純情・清楚を擬人化したかのような彼女』として扱います。


現実は、後輩と話している君を木陰から観察する変質者なのにね!


付き合ってみて感じた事は、謙也は彼女を大切にするという事と、非常にヘタレだという事。彼はとてつもなく奥手だ。

今回のデートも、ただ映画を観てショッピングをするだけなのに、計画まで綿密に立ててくれていた。まめな性格である。

2週間前にデートの誘いに来た時なんか、心配した白石くんや財前くん、小春ちゃんとユウジくん方が校舎の隅からこちらを見守っていた。どこの保護者だと思ったが、私は「勿論いくよ」と謙也に笑いかけた。
その時の彼の喜ぶ顔は…




「あ、名前!」



そう、こんな満面な笑みだった。



「謙也、帰ろう。」
「おん帰ろ帰ろ!ほなな光!」
「ん」



何だかんだで私も彼にベタ惚れなんです。明日のデートは何を着て行こうかな。






END.

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「名前…て・手ぇ繋いでも…」
「うん、手繋ご」
「(わー!言った!言ってもうた!!)」





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