今日、クラスメイトの財前くんに初めて話し掛けられました。席替えで隣の席になって、その時に「よろしゅう」って。


「あ…よ、よろしくね」
「俺そっち狙ってたんやけどな」
「…私の席?」
「おん。窓側で一番後ろやで。寝れるし最高やんか。」
「だ、駄目だよ寝ちゃ…」


頬杖をつきながらこちらを見ていた財前くんが、ちょっと目を細めて笑った。
いつも仏頂面で怖いなと思っていたので、凄いびっくり。笑うんだ…



次の日、休み時間に財前くんを見たら、ヘッドフォンで音楽を聴いていた。不意に目が合う。


「すまん、何か言うたか?」
「え、ううん。何も…」
「そうか。…ヘッドフォンしとる時は聞こえへんから、呼ぶ時は肩でも叩いてや」
「うん、わかった」


でも、次の日から財前くんはイヤホンを持って来て、いつも右耳だけで音楽を聴くようになった。



「その弁当」
「え?」
「自分が作ったんか」
「そ、そうだよ」
「へえ」


昼休みに私のお弁当を覗き込む財前くん。な、なんだろう…マズそうなのかな…?下手くそかな…? 
 
 
「美味そうやん」
「あ」
「うん。美味い」


卵焼きを取られた。
この日から、帰りに「ほな」と財前くんから挨拶をしてくれるようになったんだっけ。



日直で早く学校に着いた時、財前くんがもう教室にいた。


「おはよう」
「…ああ、なんや名前か」


初めて名前を呼ばれた。


「朝練?」
「せや。疲れた」
「お疲れ様」


その日一日、なんだか楽しかった



「光くんって、いつもどんな音楽聴いてるの?」
「洋楽。ジャケ買いすんねん」
「へえ…洋楽って難しそう…」
「有名なん貸したろか?」
「いいの?」
「ええよ」


「財前くんに借りた」っていう意識が強くて何だか緊張した。次の日にCDを返して「いい曲だね」と言うと、「せやろ」と笑った。最近財前くんはよく笑う。お昼にまた卵焼きを取られた。


 
次の週、放課後に酷い雨が降った。傘が無くて濡れて帰るのを覚悟していたら、後ろから肩を叩かれた。


「名前、今帰りか」
「…あ、財前くん」
「途中まで入るか?」
「え?」
「ほれ、折り畳み傘」


鞄から折り畳み傘を出しながら、ニヤリと得意げに笑う財前くんが可笑しくて、結局お言葉に甘えて同じ傘に入れて貰った。
別れ際に「前に借りたCDで、その歌手が好きになった」と伝えると、財前くんはまた嬉しそうに笑った。

明日はどんなお話が出来るかな。






 
END.

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続く、かも…!?
笑ってる彼が書きたかった。

 


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