「名前先輩の事が好きなんです。
俺と付き合って下さい」



衝撃だった。

あのテニス部で「天才」と言われるイケメン、財前光くんに告白されるだなんて。
3年生の私は、当然2年生の彼と接点なんか無い訳で。同じクラスのテニス部、白石くんや忍足くんとだって挨拶する程度の仲だし。

「いや人違いじゃないですか」…なんていう言葉が出かかったけど、目の前にいる財前光くんは、しつこいようだがイケメンであって…
 
 
 
「ハイ」
 
 
私は3秒でOKした。
 
 
 





 
「…いや、それはもう聞いたで」
「それからは?他に進展あったんか?」


こうして財前くんと付き合う事になった私は、告白された次の日「ちょい来て」と白石くんと忍足くんに屋上へ拉致られた。

財前くん、絶対周りには秘密にするタイプかと思ったのに部活で言い触らしたらしい。いいぞもっとやれ。

それから更に二週間。白石くんと忍足くんとすっかり仲良くなった私は、未だに毎日尋問を受け続けている。
「イケメンを独り占めしやがって」という周囲の目線にも既に慣れた。



「無いよ進展なんて…」
「嘘やん!!アイツ部活で【先輩キスまだなんスか】とか言って馬鹿にしよったんやで!!」
「え?忍足くんまだなの?」
「やっぱキスしたんやなお前ら!!」


スピードスターの名は伊達じゃない。彼は物凄いスピードで床をのたうち回り出した。なんか海老みたい。


「キスなんてしてないよ。意外だなぁって思っただけで…」
「せやせや。まだ中学生やで」


君は中学生に見えないよ白石くん。絶頂とか言っちゃう辺り。


「なぁ、財前って普段どんなメールして来るん?好きとか言うん?」


興味津々、と顔に書いてありそうな海老(忍足くん)が私の携帯を覗く。



16:58--------------------

【財前くん】
text:先輩好きです。

17:05--------------------

【財前くん】
text:寝ちゃったんですか?

17:11--------------------

【財前くん】
text:俺の事嫌い?

17:13--------------------

【財前くん】
text:先輩ー好きですー

17:16--------------------

【財前くん】
text:今日、白石部長と謙也くんと何話してたんですか?

--------------------



「や、止めてよ。勝手に見ないで。」
「「名前、別れや。」」
「ええっ!?」


何を言い出すんだこの人達は。忍足くんに至っては「見てはいけなかった」みたいな変な半笑いで私を見ている。海老のくせに。


「何で急に…」
「束縛し過ぎやんなコイツ。絶対疲れるで名前」
「気持ち悪いっちゅー話や。」


理由はよく分からないけど、財前くんがボロクソに言われている。こ、ここは彼女として反論すべきなんだろうか?…と、背後で屋上の扉が思い切り開く音がした。



「名前先輩」
「!!…財前くん!」


後ろを振り向くと、ちょっと照れたような笑みを浮かべた財前くん。正に天使。


「一緒にお昼食べませんか」
「勿論!」


何と言われたって私は財前くんと別れないよ。白石くん、忍足くん。
だって、私も財前くんが好きだから。









END.

*******************

「財前…羨ましいやっちゃ」
「あんなんより名前には俺がお似合いっちゅー話や…」





 


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -