授業終了のチャイム


「よっしゃ、昼や!」

「あ、俺今日購買で何か買わんきゃアカンかったんや。
先行っとってや」

「解ったで白石。
ん、名前まだ行かんのか?」

「あ、光待っとるんよ。向かえに来る言うてたから」














光に告白してOKしてもらってから二日目。

ドSだと思っていた光は「好きな子には物凄くデレる」ことが解った。
めっちゃかわいい。
これぞまさにツンデレなのだ。

いつもテニス部の皆で屋上で取っている昼。
二人だけで食べることにしても良かったのだが、光は、「じゃあ、先輩の教室まで向かえに行きますわ。」と言った。

こんなちょっとの距離なのに…もうめっちゃかわいい。可愛すぎる。


そんな健気な光を待つ。


「にしても…光がなぁ…」

「なんや謙也。」


後ろの席のクラスメイトを振り返る。
謙也は頬杖を付いて、何故か一緒に光を待っていた。
蔵と一緒に行けば良かったのに。
正直邪魔くさい。


「いや、俺らには普通なのに、名前に対してのあの光…」

「めっちゃ可愛いやろ?」

「ホンマびっくりや…」


そりゃうちもびっくりしたけど、そんなこと関係ない。
光が可愛いからそれで良いんだ。


「それほど光はうちを愛してるっちゅー訳やな!」

「光がなぁ…
ましてやお前みたいなガサツな女…」


失礼な事を言おうとした謙也の頭を、変な消しゴムが並ぶ机に打ち付けてやる。
誰がガサツ女や、このハゲ。ブリーチに頭侵食されてハゲろ

ギリギリと頭を押し付けてると、急に影が掛かった。
横を見上げてみると、いつの間にか光がいた。


「光っまっとったで!」


バッと素早く立ち上がると、光はちょっと目を見開いてうちを見たあと、無表情で謙也を見下ろす。


「ん、あぁ。光来たんやったら」


頭を上げた謙也の声はそこで途切れ、「ぅおあ!!」と情けない声と共に、椅子ごと転がり落ちた。

横から見ていたうちから状況を言うと、
謙也が顔を上げたとたん、光はいきなり謙也の机の端を掴むと、持ち上げて机を傾け、上に並んだ妙な消しゴムや、突っ伏していた謙也を落としたのだ。
突然の光の行動にびっくりして横から見てても直ぐに状況把握が出来なかった。


「ひ、光?」


声をかけてみると、こっちを向く光。
そして驚いた。
振り向いた光の表情は、泣くまいと涙を堪える男の子で、さらに驚いたのは、その光の表情に驚いていたら、次の瞬間にはうちに抱きついていたことだ。

私、軽いパニック。


「ひ…光…?どないしたん?」

「……」


光は何も言わず、ぎゅぅっと子供の様に抱きついてる。
光?ともう一度声をかけても抱きしめる手を強めるだけだった。


「いきなり何晒すねん!!」


謙也が飛び起きて光に講義すると、光は謙也の方に顔を向けてキッと睨み付けた。
そしてすぐうちにしがみつき直す。
原因は謙也…か?


「あー…ちょっと謙也先行っとってくれへん?
光、外行こ?」


光の手をとって光の顔を覗き込むと、今にも泣きそうな顔でうなずいた。
この光の表情ははっきりいってめっちゃ可愛いとおもった。

光の手を引いて教室を出る。
とりあえず目に付きにくいとこ…空き教室でええか。

教室に入って、光に向き直る。ちょっとは落ち着いた様だ。


「…光、なしたん?」

「――…やて…

謙也さんと…楽しそうに話しとったから…」


え?これは……


「学年違うのも嫌なんに…部長と謙也さんとはクラスまで一緒やから…俺……」


そこまで言うと、光はまた子供のようにぐずり始めた。
これは…やきもち?

なんて…

光はなんてかわいい生き物なんだろうか。

今すぐ机を2年教室に持って行って2年生だと言い張って光と一緒に授業受けたい。もう留年したい。
寧ろ二人でランデブーしたい。
けど、まぁ、事実上は無理なわけだ…。


「大丈夫やで光。うちは光しか興味ないで。
だから、学校ではお互い我慢しよ?
学校終わったら、毎日遊ぼ!」


な?と、顔を覗きこんでやると、「…うん」と頷いてまた抱きついてきた。


堪らなくかわいい。
悶え死にそう。
顔のニヤケが止まりません。

お願いだから今顔あげないでね!!


こんな如何わしい思いを抱く自分の本性を隠しとおせる気がしないです。


とりあえず。今の私は幸せだ。


END.

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「お昼だけでも二人で食べよか?」

「名前先輩と居れればそれでいいッスわ」


だから可愛すぎるってば…!


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