『最低』
『ブス』
『調子乗んな』
『売女』
『学校辞めてまえ』







独占したいから








「どないしたんや?」
「…白石くん」


人のいない放課後の教室で、呆然と佇むクラスメイト。
名前ちゃんは、俺の声にゆっくりと振り向いた。目にいっぱい涙を溜めて。


「白石くんも、私の噂知ってる?」
「…最近聞いた。」


そっか、と俯いた名前ちゃんの目からは、とうとう大粒の涙が溢れ出して来た。


「急に友達から避けられて…理由聞いたら、数人と付き合ってるとか……変な噂流れてるって…
おさまるまで我慢しようとしたんだけど…何か…」


油性ペンで辛辣な落書きが掛かれた机に、名前ちゃんの涙が染み込んでいく。しかし、その醜い落書きは消えない。


「ごめ、ん…白石くん。クラスで普通に接してくれる人、白石くんと謙也くんだけで…」


ごめんね、そう言ったきり、名前ちゃんは黙り込んでしまった。教室には名前ちゃんの押し殺した泣き声だけが響く。

「何か相談したら、俺にまで避けられると思うたんか?」


ずっと一人で耐えてきたんやな。と、俯く名前ちゃんの頭を撫でる。すると、小さい身体を更に縮めて、また「ごめん」と呟いた。


「俺はそないな噂信じてへん。…ほら、落書き消して帰ろ」


とうとう我慢できなくなったのか、大きくしゃくりあげる名前ちゃんの手を握りながら、俺は消えるか分からない落書きをハンカチで擦った。



「…有難う、白石くん」
「お礼なんかええよ」











だって、その噂流したの俺やし。




END.

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理由はタイトル通りです。
歪んでるよー歪んでるよー




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