「義父様、義母様、ふつつか者ですが宜しくお願い致します。」
「心配だわ…あの子お転婆だから」
「いやぁ母さん、彼と一緒なら名前もきっと大丈夫さ」




ガチャッ


「ただいまー」


「では…うちの娘を頼んだぞ、蔵ノ介くん」
「!?」














 
今日はツイてない一日だった。

朝寝坊して、お弁当を忘れた。だから購買へ行ったのに焼きそばパンは売り切れ。掃除時間は謙也とベースボールごっこしてたら窓ガラス粉砕ホームランを打って先生にこっぴどく叱られたし。おまけに部活がないから可愛い金ちゃんにも癒して貰えない。

そして極めつけに


「そんなに畏まらなくても、気楽に義父さんと呼んでくれ。君は私の息子同然なんだからな。」
「…凄く嬉しいです、有難う御座います。義父さん。」
「まあ、すっかり意気投合して」


何でコイツが家にいるんだ。
更に私の両親と何の話をしている。
  
「おかえり、名前」


ニコリと笑って私を見る白石。
騙されねぇからな。私も始めはその笑顔に騙されたよ。だがお前の本質は…


「蔵ノ介くん、アナタの部屋のお片付けしててくれたのよ?」


こうやって私の部屋に無断で上がり込む変態だろうが。


「名前、ちゃんと下着は畳んで入れなアカンで?」
「うるさい黙れ変態。他人の部屋入って遂にクローゼットまで開けやがったな。」


悲しい事に、もう部屋に上がり込まれたりするのは慣れてしまった。…しかし何故こいつは私の両親とこんなにフレンドリーに話しているんだ。帰れよ。


「なんて事言うの名前…蔵ノ介くんはアナタの彼氏なんでしょう?」


思わず母を二度見した。
…なんだって?私の彼氏?
こいつは私の彼氏じゃなくてストーカーだ。


「何を言うんだ母さん、蔵ノ介くんは名前の彼氏じゃないだろう」


そうだお父さん!流石!昔から意気投合してたお父さんなら分かってくれると思ってたよ!


「名前の旦那だ」


畜生!!!!

フレンドリーやらストーカーどころの話じゃねぇ!こいつ私の家族に押し上げられてる!
私は思わず頭を抱えて嘆いた。夢なら覚めてくれ!最悪だ!


「では義父さん、義母さん。名前と俺は帰ります。」
「は?…っていうか触んな」


肩に腕を回してきた白石の手の甲をバシンと叩き落とす。帰るんだろ?早く出てけ馬鹿。誤解を解いたオマケに、お前の悪行を全て両親にブチまけてやる。


「ほら、お世話になったんやから頭下げんと。これからご両親と私生活は離れ離れやで?」
「何言って…」
「これ、必要な荷物纏めといた」


私のキャリーバック。ご丁寧に黒マジックで書かれた名前は
「白石 名前」

まさか




「狭いアパートしか借りれんかったけど、愛があれば関係あらへんよな?」


まさかの二人暮らし








END

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「ウワァァァァ離せ変態――!!!!」
「暴れても無駄やで?」





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