誰かが私の嘘の噂を流している。

先週は友人に「名前、好きな人がいるんだって?水臭いな…そうならそうと教えてよね!」と言われたが、私はおやつのチョコ棒をサクサクする事に夢中だったので「はぁ」とだけ返事をした。いやぁチョコ棒美味いマジリスペクト。

ちなみに先日の家庭科の授業中、同じ班の柳生くんに「仁王くんの為に作っていらっしゃるのですよね?」と意味不明な事を言われたのだが、私は課題料理のお好み焼きをひっくり返す作業に大忙しで「あぁ…」と返事をした。

大成功したお好み焼きにマヨネーズをかけたら、横から柳生くんが「仁王くんはマヨネーズはいらないです!」と慌てられたが、「はぁ?」と言いながらマヨネーズを絞り出した。柳生くんは随分仁王くんが好きなんだなぁ。

そして今日は友人達が私を取り囲んで「アンタ仁王くんと付き合ってるの!?」「ずるい!」「いつの間に仲良くなったの?」「私、仁王くんと話しもしたことないのに!」と一気に捲し立てた。えっ、私も仁王くんとお話ししたことないよ。

芸能リポーターのように詰め寄る友達が怖かったので、仕方なく昼休みに仁王くんを探す。仁王くんの教室へ行って彼を呼び出すと、教室内がざわざわする。ああ…ここでも噂になっているんだ。


「何故か私と仁王くんが付き合ってるって噂になってるよ、仁王くんからも否定してよ」と頼むと、彼は大きな瞳を瞬かせて笑った。ああ、お腹空いたなぁ…まだ購買に焼きそばパンあるかな…。


「噂流したのは俺じゃ」
「えっ」


仁王くんの薄い唇が弧を描いて、私の焼きそばパンの思考回路を塗り潰す。少しだけ首を傾げた仁王くんの香水が私の鼻を通り抜けていった。


「お前さん、鈍過ぎ」
「好きな人がいるとかって私の友達に嘘言ったのも仁王くんなの?」
「うん」
「何でまた」
「名前を好いとるから」
「誤魔化さないでちゃんと教えて」
「いや…嘘じゃ…」


友達曰く、仁王くんは爽やかで白黒はっきりしたイケメンらしいけど、めちゃくちゃどもってるよ彼。廊下が寒いのか耳も顔も真っ赤だし。寒がりなのに外で部活とか大変だなぁ。…ああ、お腹空いた。










少年
ずっと君と話したかった!









END.

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思考回路があっちこち行くヒロインを表したかった筈なのに、ただの文才ない小説になった。




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