仁王 雅治くんへ
初めまして。名前といいます。
広いこの世界で、私よりも悩み苦しんでいる人々が沢山いるのは分かっています。しかし悩みを他人と比べるだなんて我ながら不毛だと思うので、是非私の悩みを聞いて頂けないでしょうか?私はここ最近、抗えない苦しみに苛まれています。
それは放課後、大好きな彼氏と下校する時に必ずやってきて、私を散々苦しめるのです。
最近付き合ったばかりの柳生くんはとても優しい人で、いつも二人並んで帰路につきます。柳生くんはエスコートも上手で、手を繋いで歩いてくれます。私はこれが悩みです。
手を繋ぐのは嫌じゃないんです。むしろ柳生くんの手は大好きなんですが、問題は私の手汗です。
私は緊張すると手汗を大量にかくので、それが柳生くんを不快にさせていないかとってもとっても不安なんです。
湿るくらいなら可愛いものです。垂れるんじゃないかとハラハラする程の量なので、柳生くんが手を繋いでくれた瞬間にヌル…とかになったら私はもうその場でアスファルトに埋まって二度と出て来ない予定です。なので手汗が出なくなるような方法を教えて下さい。お願いします。
3年A組 名前
「っていう手紙が入ってたんじゃ」
「で、張本人の私にわざわざそれを報告しに来たのですか、仁王くん」
「だって何で俺に相談したんじゃろこの子。俺医者でもないきに分からんぜよ」
「デリカシーゼロですか貴方は」
「ピヨ」
「…しかし名前さんがこんな事で悩んでいらしただなんて…」
「柳生は気になるんか、手汗」
「むしろ興奮します」
「う、うわぁ…」
「実は繋いだ手の匂いを嗅いでいる事を教えて差し上げた方が良いのでしょうか」
「絶対止めた方がいいぜよ」
彼の親友だから
分かるかな、と思ったんです。
END.
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つづくかも(誰得)