我侭を、言いました。とても沢山の我侭を言いました。


「死なないで」から始まり
「ずっと傍に居て」
「キスして」
「このお菓子食べていいよね」
と、本当に下らない些細な事まで沢山の我侭を言いました。
でも貴方はいつも笑っていましたね。

貴方と一緒に病室から見る夕日はいつも酷く綺麗で、何度泣きそうになったか分かりますか。

でも泣きませんでした。貴方を心配させてしまうし、一番不安で泣きたいのは貴方だからです。この時間が一生続けばいいのにと、私は残酷な事を口走りました。それでも貴方は笑っていました。


「どうして?」
「そうしたら、精市くんの病気は一生治らないかもしれない。でもその代わり、精市くんは一生死ななくて済むから」
「そうか、そうかもしれない」


でもね、と彼は私を優しく抱き寄せて囁きました。



「俺は、名前と一緒に生きて死にたい」



私は溢れそうになる涙をまだ我慢していました。彼の細くて繊細な体をぎゅっと抱き締めて、ただただこの世を恨みました。
どうして、何故精市くんが。何か言えば、彼が目の前から消えてなくなってしまいそうで怖かったから、ひたすら黙り込んでいました。

貴方が倒れたあの日、貴方は私に言いましたよね。口を懸命に動かして「さようなら」と。
あの時に生きる事を諦めた貴方が、今は私と一緒に生きたいと言います。私は、貴方が生きたいと言うならどんな力にだってなるつもりです。



「私も、精市くんと生きたい。一緒にいたい」


今は手術室の前で、貴方の戦いが終わるのをずっと待っています。












END.

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song by JUJU/明日がくるなら
企画:ウォークマンさま提出。
 
 


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