携帯の着信音が鳴っているような気がして、重たい瞼をゆっくりと動かした。時刻は2時。

枕元では開きっ放しで伏せられた携帯が振動したまま喧しい音楽を鳴らし続ける。そろそろこの曲にも飽きたなぁ。

なんて考えている内に曲が切れた。
まだ覚醒しきっていない脳に、
「こんな夜中にどんな了見でぇ」と江戸っ子が出現した。意味が分からないかもしれないが、眠い時なんてそんなモンじゃなかろうか。


ディスプレイには
着信あり 5件


……5件?着信履歴を見ると、ズラリと履歴を彩る一人の名前。
その名前を確認した瞬間、再び鳴り響く着信音。


ディスプレイには
coaling 財前光


「…もしもし?」
『遅い』
「はい?」
『何回電話した思うとるんや』
「5回」
『早う出ろやアホ』


夜中に叩き起こされた挙げ句アホ呼ばわりかよ。うわー有りったけの憎しみを込めてデコピンしてやりてー


「寝てたんだもん」
『俺は寝られへん』


知らんがな。
漸く脳が目を覚まし出したぞ。明日は…いや今日か。今日は折角の日曜日だからぐっすり寝てようと思ったのに、光のせいでおじゃんだよ。


「目を閉じて精神統一しな」
『無理』
「横になんなよ」
『無理、今外やし』
「は?」
『名前先輩の家の前っすわ』


カーテンを乱暴に開けて窓を覗く。2階の窓からは家の正面がよく見える。そこには、携帯片手にこちらを見上げている光の姿があった。


『来てもうた』
「うん、見れば分かるわ」
『上がってええ?』
「どうぞ」


私がそう言うと光は目を猫のように細め、嬉しそうに笑った。













寂しい夜は君に会いたい。









END.

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