「ユウジ先輩。バンダナ外してみて下さい。」

「ケータイ構えて何言うとんねん。
んなもん撮って何するつもりや。却下や」



ブログのネタに困ったとき、ふと度々もらっていたコメントを思い出した。

『この先輩、バンダナ外したのとかないんですか?』
『目付き悪いんじゃなくて、バンダナのせいでは?』
『このバンダナした先輩、きっと外したら…』


ユウジ先輩のバンダナしてない姿…。
そういや一度も見たことあらへん。どうせならこれをネタにしたろ。





VS





と言うことで、本人に直接交渉してみたが、やはりダメだった。
他の先輩とかなら普通にあるんやろか?
無性に気になってきた。

だが、謙也さんに聞いてみても、
「ん?ユウジのバンダナ外したとこ?
んー…言われて見たら見たことあらへんなぁ…。」

部長に至っても、

「あぁ…ユウジ、人前では外したくないんやて。
小春なら見たことあるかもしれへんな。」

外したくない?
もしかしたら第三の目でもあるんやろか…。
小春先輩に聞いたら早いんだろうが、あの先輩には出来れば話し掛けたくない。


「と言うことで、たのんます」

「なんで私が」

「だって名前先輩、ユウジ先輩と同じクラスやないッスか」

「そうだけど」

「しかも席、ユウジ先輩の真後ろやないッスか」

「3年になってから何でかずっと変わらないんんだよね」

「たのんます」


ユウジ先輩の真後ろの席の名前先輩なら見たことあるかもしれへんし、撮るのだって可能やろ。


「一緒に更衣室入っても見たこと無いんだったら尚更私なんか無いに決まってるじゃん」


やっぱり普通に過ごしてたんじゃ見れへんもんなんやな…。


「なら後ろからバンダナ剥ぎ取ったらええやないッスか」

「なるほど、頭良いね!流石天才!」


馬鹿にされとるんやろか。
こんどのブログのネタに先輩の変顔使ったろ。
自信がついたんか、「放課後までに必ず撮るからっ!」と親指を立ててウィンクして去った。
今のも撮っとけばネタに使えたかもしれんのに惜しいことをした。

さて、どんな秘密が隠れとるんやろ?
俺は授業中で文の構成を代々考えとく事にした。
古典やし、面倒だから聞き流すだけでええわ。
いつものように机の下で文を考えながら打っとると、メールが来た。
授業中に誰やろ?と思ったら謙也さんやった。


『あれやったら名前に頼んだらええんちゃう?
ユウジ、多分名前に言われたら断れへんやろうし。』


もう頼んどるわ。
けど、なんで断れへんのやろ?
なんか弱み握られてんやろか?
とりあえず、「何で断れへんのです?」とだけ返してみれば、流石スピードスター。即効で返ってきた。


『何や、光は知らんかったんか?珍しいな。
ユウジ、名前の事好きなんやで』


謙也さんのメールに、俺の手が止まる。
そんなん、聞いたこともあらへん。
そんなん知ってたらとっくにブログのネタにしとる。
そんな事より――

気づけば、俺は授業が終わった途端教室を飛び出しとった。
足は勝手に3年8組へと向かって進んどった。
自分でも何をしに行くか頭で理解はしとらん。

ただ、


「名前先輩!」



名前先輩と話すユウジ先輩に腹が立った。







END.

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『ユウジ先輩には渡したくあらへん』

ギャグになりきれませんでしたorz


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