「桃、待ってよー!」
「遅ぇなぁ、早くしろって」
「掃除当番だったんだもん」
放課後に桃と並んで帰る。桃は自転車を降りて、私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれた。足を速めると、「いいって」と優しく咎める桃が大好きで嬉しくて、私は笑った。
「テニスの練習、辛くない?」
「すげー楽しいぜ!お前もやれよ」
「えー、運動苦手だからヤダ」
「俺が教えてやるって」
私は桃が沢山努力してるのを知っている。沢山練習して、沢山勝って…でも負ける事もあって、その時の桃は凄く悔しそうだった。
桃が悔しい時、辛い時、いつでも支えて傍にいたいから、私がテニスでくたくたになる訳にはいかないんだよ、桃。
「あ!だったらマネージャーはどうだ?まぁ練習しない分、他に大変な事もあるけどさ」
「桃はしつこいなぁ、いいってば」
「だってよ、そしたら…」
一緒にいられる時間が増えるだろ?と小さく呟いた桃は、恥ずかしそうに俯いた。ぎゅっと締め付けられた胸に、思わず笑みが零れる。桃は本当に私を喜ばせるのが上手い。
「マネージャーになったら、他の選手や先輩達も応援するんでしょ?」
「ま、そりゃな」
「だから私はいいの。だって桃だけを全力で応援してたいから!」
私は桃色応援団
「…そっか!そうだよな!」
「次の試合も頑張ってね!」
「おう、任せとけ!」
END.
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