「今日は部活が終わったら皆でミスドに行かないかい?」


そんな、幸村が提案した話を、私は部誌を纏めながら聞いていた。












ブン太にジャッカル、そして赤也は直ぐに乗った。
柳生と仁王も行くことにしたようだ。
柳は多分、「精市がそう言うなら行こう」と言うだろう。

問題はやはり真田だった。

まず、「みすど?」と首をかしげている。
「喫茶店みたいな所だ」と柳が教えてやれば、
「学校帰りに中学生だけでその様な場所に…」とかブツブツ言い出した。
安心しろよ。お前がいればただの大家族だよ。

おや?幸村が真田に何かを耳打ちした瞬間、「む…それならば仕方ない」と、あっさり折れた。
何なんだろあの人。

そんな皆がバラバラと練習に戻って行く中、幸村がこちらによってきた。
何だろう。今日はイップスにされるような粗相はしてないはず。


「やぁ名前、今の話し聞いてたよね?
もちろん君もくるよね。」

「え?あの、どうして私も…」

「いいから来なよ。味覚以外も奪われたいのかい?

気づけば口の中が妙にさっぱりしてる気がする。
ノーモーションでやってのけるなんて…侮れない。
とりあえず笑顔で切り返せば、許してもらえた。
「じゃあ、部活が終わったら駅前のミスドに集合で」と一方的に言って去っていく。
なんで私まで行かなきゃいけないんだ。金欠なのに。



部活が終わり、またイップスにされたくないので早足で現地に向かえば、既にほとんどの人がそろっていた。いないのは真田だけだ。
くそぅ、なんでみんなこんなに早いんだ。イップスにされたくない。


「ちゃんと来たね。早く注文しておいでよ」


気づけばすでにみんなの前にはドーナッツもおかれていた。
とりあえずここは黙って言うことを聞いておこう。
適当にチョコのかかったのを選んで席に戻る。真田だけはまだいない。


「あのー、なんで私まで…?」


疑問をぽろっと、隣にいた柳にもらしてみた。
柳になら質問しても何もせずにちゃんとかえしてくれるはず。


「お前が来るなら真田は必ず行くと言うからだろう」

「へ?」


なんで私が行くと真田も来るんだ。奴はストーカーか。

私が眉間にしわを寄せていると、「気づいてないのか?」と柳が首をかしげる。
あのクソ真面目な真田がストーカーしてたなんてそんなの気づいてなかったよ。ていうか、気づいててシカトできる人がいるだろうか?
というかなんで真田をそんなに無理やりにでも来させたかったんだろうか、

と思って言ると丁度真田が来た。
想像どおり、喫茶店とかにあまり来た事がないのか、入り口に入ってジャッカルが手をあげて手を振ると、真田が気づき、こっちにやってきた。
笑っていた三名は笑うのを堪えて平然を装っている。


「む、既に全員そろっているのだな。遅れてしまったか。」

「大丈夫だよ。ほら、みんなもう注文してるから、弦一郎もあのカウンターで注文しといでよ」


幸村がパーフェクトスマイル(偽)で言うと、「む、そうだな」といってカウンターへ向かう。
約三名はやけにニヤニヤしはじめた。
ジャッカルはそわそわしはじめた。
柳生はめがねで見えない。一見変わらない。
仁王に目を合わせるとろくな事がないから見ない。
柳は…いつもとなにかかわっているだろうか?

なるほど、この面々は、こういう不慣れな面での真田で遊びたいんだ。


まったく…真田がかわいそうじゃないk「何だこの小さい浮き輪は


エンゼルフレンチ吹き出した。
丁度真田の助太刀に行こうとしてたジャッカルの後頭部に吹き出した。

赤也なんか机に伏せて呼吸困難になってる。


この後数人が笑いすぎでドーナツ詰まらせて真田をいじるどころじゃなくなったのはのは言うまでもない。





END.


************

跡部のアレの真田バージョン。


「やはり弦一郎はデータ通り名前が好きなのだな。
あれほど行きたくないと言っていたハイカラな場所にまで来たのだから。」

 
10,000HIT記念!
 


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -