仁王は完全にクロだ。
柳生もどうやら危ないらしい。
赤也は分かりやすいし。
噂だと「あの」真田まで…


「フフ、名前は俺のものなのにね」


どいつもこいつも俺の好きな子を狙っているから気が気じゃない。





「名前ー構って欲しいぜよ」
「仁王く…わっ!!」
「名前は柔らかいのう」
「やや、止め…」
「まーくんって呼んでくれんと嫌じゃ。このままお持ち帰りするナリ」


俺の名前に抱き着く仁王に
チョークスリーパーをかましてK.Oしたい。


「止めたまえ仁王くん。彼女が嫌がっているではないですか」
「や、柳生くん」
「お邪魔虫が来たぜよ。名前、まーくん怖い」
「とにかく名前さんから離れて下さい。嫌がる女性に抱き着くなんて男性として恥ずかしいですよ」


柳生、引き離すフリして名前の肩を抱くの止めなよ。眼鏡割るぞエセ紳士。


「名前せんぱ…ゲッ!
「ほうほう、3年の教室に来るなんて赤也はいい度胸しとるのう」
「仁王先輩に柳生先輩!!俺負けないっすからね!!…っていうか柳生先輩!名前先輩から離れて下さい!」


名前を柳生から引き離す赤也。いいぞもっとやれと思ったらアイツ名前に正面から抱き着きやがった。
前言撤回だ。今日は赤也だけ特別地獄コースにしてやろう。5秒でイップスにしてやる。


「赤也!」
「さ、真田副部長…!!」
「わざわざ別の教室まで来て何をしている!!弛んどるぞ!!」


お前もな。

真田の怒鳴り声で更に苛々してきた俺は「もう手っ取り早く全員イップスにしてやろうか」と思ったが、それは思うに留まった。
名前が俺の席までやってきたのだ。


「幸村くん、これ」
「え?」
「昨日、ノート借りたでしょ?」


忘れる訳無い。無いのに、名前に話し掛けられた事が嬉しくて。自分の名前の書かれたノートを見ても、どこか上の空だった。


「役に立てたかな?」
「凄く分かりやすかったよ」
「それは良かった。…あと、うちの部員が騒いで済まないね」
「ううん、気にしないで」


優しく笑う名前は本当に可愛いくて、思わずため息が出そうになったのを堪える。ついでに視界の端で悔しがる部員に盛大などや顔をしてやった。フフン、羨ましいだろう。


「それでね、」
「なんだい?」
「もし良ければ、来週のテスト勉強を一緒にしたいなって…日曜にでもどうかな?」









「名前、俺が教えてやるぜよ」
「いいえ名前さん、私が」
「お、俺!今から頑張って追い付くっスから!」
「どこが分からんのだ、俺に言え」

「ちょっと全員黙っててよ」




END.

**********************

10,000HIT記念!



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -