深夜2時過ぎ、寝ている彼をベッドに残してキッチンに立つ。物凄く眠い。けれど喉が渇いた。

お揃いのマグカップは、中学生時代に修学旅行で一緒に買ったもの。当時は「こんな地味な柄は嫌!」と喧嘩にまで発展したが、今ではシンプルなデザインが中々気に入っている。
以前、そこまで見越したのかと聞いた事があるが、彼は「さあ」と肩を竦めて笑うだけだった。


「よし、寝よ…」


水分補給もして、寝る気満々で寝室に振り返ると目と鼻の先に彼が立っていた。


「うわ、びっくりした」
「…何してるんですか」


昔の癖で気配を殺していた彼だが、どうやら眠いらしい。切れ長の目を細めて眉間にシワを寄せながら、私を不機嫌そうに見下ろす。


「喉渇いたから…」


そう言った私の手を握る彼。そのまま抱き寄せられ、普段なら絶対に出さない甘い声で、優しく私の耳元をくすぐった。


「何処かに消えたかと思いました」


寝ぼけてるな、と思いながらも嬉しさが込み上げる私。彼に抱き着いて、お返しにたっぷり愛情を込めて囁く。


「そんな訳ないでしょ、寝よう」
「ん」
「好きだよ、永四郎」
「俺もです」




このギャップが堪らない!




END.

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