貴方の傍で

「あやー?」


そこにいるはずの人物の名を、私は呼ぶ。
この図書館にはあまり来ないのだが…面白い人物を見つけてからは、毎日のように通うようになった。

だが、今日はその人物はいないようだ。


「うーん…珍しいなあ、あやクルがいないなんて…」

風邪でもひいたのかな?
…魔物って風邪ひくのか?いや、でもあれはクルークの体なんだし…
クルークが風邪ひいてたら、きっと乗っ取ってる方も…

「…心配になってきた」


あやクルがここにいないことがまずおかしいし…
これはクルークの家に突撃訪問しなくちゃいけないかな。

「おし、行こう」





**



―ピーンポーン

「…」

ピーンポーン ピーンポーン

「…」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンp「出ればいいのだろう!!少し待て!!」


あ、いたね。
喋り方的に、今のはあやクルだね。
というか、クルークなら最初のチャイムの音で出てくれるから二回目の時点であやだと確信がついた。



ガチャッ


「なんd………!?なっ…!なまえ、どうしてここに…」
「あー、図書館行ったらあやがいなかったからどうしたのかなー、と」
「…そうか」
「…体調悪そうだね。やっぱりクルーク風邪ひいたのか…よし、お邪魔しまーす」
「は、貴様何考えて……って、おい!待て!」

なんとなく、で来てみたが…予感は的中していた。
…体調管理はちゃんとしないと、クルーク。

後ろで叫んでいるあやは無視して、部屋へと入っていく。


「薬は飲んだの?」
「…乗っ取る前に此奴が飲んでいたな」
「そっか。じゃあ、何か食べた?」
「いや、食べていない」
「よしよし。んじゃ、なまえさんがお粥を作ってあげよう!」

そう言うと、…あぁ。と一言呟いて、あやはソファに寝転がった。
…私はてっきり、"いらん"って返してくるかと思ってたのに…ちょっと意外。
魔物でも体調悪いと元気がなくなるんだね!…でもなんでしんどいのに、乗っ取ってるんだ…?






**



「はい、どうぞ」
「…」
「…食べないの?」
「…食べさせろ」
「は?」

うーん…今、変な言葉が聞こえたような…
"食べさせろ"とかなんとか…。どうしたの、熱でおかしくなったの?
いやでも風邪ひくと、人は誰かに甘えたくなるって聞くけどさ……魔物も一緒なのかな?


「口移しでもいいぞ」
「何この人。ちょっとサタン化してる」
「あの変態と一緒にするな」
「じゃあ、口にあててる手をどけろ。後近い。風邪移る」

くそ!どうしてこいつは今日こんなに変なの!?いつもならこんなこと言わないよね!
やっぱり熱で……冷えピタ貼ったほうがいいかな…?あ、後、氷枕も


「冷えピタ買ってこようか」
「必要ない」
「…でも、熱出てちょっと変だし」
「…いつも通りだと思うが?」
「いやどこが!?全然違うよ!?」


なんだろう。なんていうか…私、ツッコミ役に合ってたりする?
いつもなら私がボケて、あやがツッコんでたんだけど…今じゃ反対だ。

そんなしょうもない事を考えていたら、何故かいきなり体が後ろに倒れ、
その上にはなんだかちょっと悲しい顔をしたあやクルが。
…つまり、私は押し倒されたのか?


「ちょ、あや…何して、」
「…なまえに、会いたかった」
「昨日会ったじゃん…」
「毎日会っていないと、何故だかモヤモヤするのだ」
「…」
「だから、なんとかしてなまえに会いに行こうとしたが…体が思うように動かなくてな…」
「…そっか」


あやは、そう話しながら私をぎゅっと抱きしめた。
先程まで冷たくなっていた体が、あやの熱で暖かくなっていく。…不思議と、嫌とは思わない



「…なまえ」
「なに?」
「……少しの間、このままでいていいか」
「…ん、いいよ。あやの気が済むまで、このままでいてあげる」
「…感謝する」

なんていうか…大きい子供を育ててるみたいだなあ。たまには、こんなあやも悪くないかな?

…すると、あやからスースーという寝息が聞こえてきた。もしかして、…寝た?


「…あや?」
「…」
「返事がない。ただの屍d…じゃなくて、やっぱり寝てるね」

…どうしようかな
私、今日帰れないフラグ?ここにいなきゃダメ。…だよね



「ま、いっか…」








今日は、貴方の傍で眠ることにしよう。


**

(う、うわああああああ!!)
(…んー、うっせえ…)
(なまえ!ど、どうしてぼぼぼ僕の横で寝てるんだよ!)
(…んあ?…あー、クルークか…はよー)
(あ、あぁ…おはよう。じゃなくてええええ!)
(…スースー)



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どうやらあや様は、寝ている間にクルークから離れてたようです←


そしてお待たせ致しました!
襤褸様キリリクの、あやクルの甘夢です。…甘夢、なのか?
たまに、あや様の口調がおかしくなっているような気が…wまぁそこら辺は熱のせいだと思ry

いつも言ってますが…小説って難しいですね…!


それでは襤褸様、リクエストありがとうございました!
※襤褸様のみお持ち帰り可能です


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