ファーストベリーキス

私は自称『普通で普通の女子学生』だ



学校の成績も並。中の中あたり。

ぷよ、魔導の力もそこそこ。

運動神経は・・・、まぁ悪くてどうしようもない程でもない。


唯一の趣味といえば読書くらいで

学校の図書はもちろん


私はよくプリサイス博物館の中の図書館を利用していた。



・・・・つい最近までは。




どういう意味かっていうと

たまたま夜中に返し忘れてた本を返しに

あわてて図書館に向かった際

基本色赤!って感じの魔物(らしい)が

クルークの体を借りていてそこに居たのが原因である。



本人曰く『使ってやってる』らしいんだけど

まぁそこは別に私に関係ないのでどっちでも良い(←



そう、そこで何故か普通で普通なはずの私は魔物に気に入られちゃったらしくて

それ以来本を貸し出しはせず、夜中に図書館で彼と読書することになったのだ。


すっごい一方的だったけどね!


確かに毎日わざわざ本を読みにいくのは面倒だが、

それをイヤだなーとか思ってない私も居たりする







キー・・ン――コー・・ン――

  ――カー・・ン――コー・・ン―――・・・・・


授業終了のベルが鳴った。

生徒たちは先生の合図で一斉に帰り支度を始めた


まぁほとんど支度っていうほどないけど

使ってた教科書とかをかばんにしまうくらいなんじゃん?



「あー・・・つかれたー・・・!」


帰るかー、と私は席を立って

肩にかばんを引っかけ、教室の出口まで歩き出した



それに気づいたアミティは、ラフィーナたちと話してたのを中断して

私に手をブンブンッと振った



「あ、なまえ!また明日ね!!」


「あら早いですわねなまえ。気をつけて帰るんですのよ」


「・・・・あの!なまえさんお気をつけて・・・」




「ああ、うん。皆また明日ねー」



とりあえず皆手を振ってくれたんで私も振り返しつつ、教室を出た

しかしアミティは放課後も元気だなー

まぁ私がばばくさいだけかもだけど。



ガヤガヤ・・と騒がしい廊下を歩いて、靴箱まで向かった。




「なまえ」


「ん?」



後ろから呼ばれた名前の方向に振り返ると

そこには見慣れすぎた秀才帽を被った同級生な彼が居た。


・・・ってまぁ、クルークなんだけどね

あんま帽子被りっぱなしだとハゲちゃうぞ、クルーク(←




「クルーク?何?一緒に帰る?」


「ふふんっ何を言っているんだぃなまえ!

秀才な僕は放課後は魔導の復習を欠かさずにしているんだよ!

平凡実力な君と一緒に帰れるわけがないさ!」


「ああ、うん。はいはい」



平凡実力で悪かったなコラ。

まぁいつものことなんで流すけども




「・・・で、何?」


「フンッ!手を出しなよ・・!」



「手ェ?」



何だ?何かくれんのか?と思いながら

右手のひらをクルークに差し出すと、彼は私の手に何かを落とした




「あめ玉?」



赤い。

・・・いちご味か?


いや、今は味のことを考える前に何故クルークが私にあめを・・・・




「さっき先生の頼まれ事を済ませたらご褒美として貰ったのさ。

僕はそんな子供っぽいもの食べないから君にやろうと思ってね!」



「へー・・・、ありがと」



「フンッ・・・。じゃあせいぜい気をつけて帰りなよ」


「おー、また明日ねー」



相変わらず忙しい放課後を送ってるんだなー

そして相変わらずツンデレだなー


分かりにくいけど基本的に良いヤツなんだけどねぇ


クルークに軽く手を振って靴箱方向にまた足を進めた


あめは・・・・、うん。ポケットに入れとこう。















タッタッタッ・・・とかばんが揺れるのを押さえ込みながら、私はひたすら走った

普段は体育のときぐらいしか走らないけど

とりあえず急いでいるため仕方ない。



「やばい。いつもより遅くなったなぁ・・・!」



今日はアコール先生の鬼畜っぷりが絶好調だったみたいで

いつもの課題レベルより応用っぽいものが多くて

課題を済ませるのに時間をくってしまった




うーん、あや待ってるよねー・・・;



プリサイス博物館の入り口まで来て、私はちょっと荒れた息を整えた



あー・・・しんどい。



走って乱れた服を直すと、ポケットに違和感を感じた

手をつっこむと、そこにはいちご味っぽいあめ玉が。



・・・・ああ、そっか。

そういやクルークに帰りがけに貰ったんだったなー。

明日まで入れっぱだと感じ悪いし、今食べちゃおう。



包みを開けてぱくっと口に放り込めば

赤いあめ玉はやはりいちご味だった



アクマさんに挨拶をしてから図書館に向かった








ちょっと小走りで図書館の入り口を覗き込めば

そこには窓際で本棚に寄りかかりながら

一冊の分厚い本に集中しているあやが居た。



うわちゃー・・・やっぱり先に来てたかー・・・;



ゆっくり歩み寄ればあやも気づいたようで

手の中の本から視線を上げた


顔がいつもよりちょっと不機嫌っぽい



「ごめんごめん、待ってた?」


「遅い」


「今日出された課題が思いのほか難しくてね」


「・・・学校で出されるものなどたかが知れているだろう」


「・・・・平凡実力で悪かったね」



なんかこれ、今日は誰かにも言った気がするぞ?

ソファの近くに肩の荷物を下ろした



「・・・・・てか、あや」


「何だ」


「本、逆さまですけど」


「・・・・・・・」



あやが持っている本はタイトルが手元にある

タイトル文字も逆さまになっている


と、いうことは中もきっと逆さまなんじゃ・・・?



あやはバツが悪そうに視線を逸らすと、本を持ち替えた。



やっぱり逆さまだったのか。



ていうかどうして今日は窓際に?

いつもソファに座って読んでるのに・・・・。



「あや、もしかして私が来るの確認するために窓際に居たんじゃ・・・・」


「・・・・・・・・・・違う」


「何、その間」



本に視線を落としてるあやの顔が若干赤い。

予想はドンピシャだったみたいだ。


照れてるあやを見て私はくすり、と笑った



「よーし、昨日どこまで読んだかなー・・・」


「・・・・・・ん?」


「えーと・・・・」


「おい、なまえ」


「何ー?」


「何を口に入れている?何か、甘い香りが・・・」


「ああ・・・、いちごのあめ玉だよ」


「あめ玉?」


「うん。クルークに今日貰ったんだよ。

先生からのご褒美らしいんだけど代わりに食べろってさ」


「・・・・・・ほぅ」



私はすっかり本の世界に入ろうとしていたため

ソファの後ろの窓の傍にいたあやが

どんな顔色だとか、気づかなかった



そして背後まで一気に気配が近づく


その気配に私は本から一旦視線を上げて

後ろに居るであろうあやに振り返った



「何?あやも欲しいの?

無理だよ。一個しかないもん」



「・・・吐き出せ」



「は?いやいや、そんな横暴な・・・・」



第一、口に一度入れたもんを吐き出すとか。

図書館で出来るかよと続けようとしたけど



あやが伸ばした手に後頭部を掴まれて

ぐいっと引き寄せられた


と、同時に唇に柔らかい感触が。



・・・・・・・・あれ。

・・・・・え?・・・ちょ、私・・・・ぇ?(←



もしかしなくてもこの感覚ってあやの唇?


突然すぎる出来事にぽかん・・としていると

半分開いてた口から生暖かい何かがにゅるっと入り込んできた


その感覚には流石の私でも黙ってはいられなかった




「ふむ・・・・ッ!?/// む―――ッ!!!///」


(ちょ・・・・ッ!?/// 離して――ッ!!!///)


入り込んだ生暖かいそれが何か、理解した私は

急に顔の熱が高くなるのを感じて


いてもたっても居られずにあやの胸を押した



すると割とあっさり離れてくれた




「な・・・・!///何してん・・・の・・!!///」


「・・・・甘いな」


「はぁ!?///

Σ あぁ!!?まさか・・・・!」



思いのほかさっきまであった口の中のあめ玉が無い


代わりにあやが口に何かを含んでいる



コ・イ・ツ・!!!


『吐き出さない』って言ったら直接口の中から奪いやがった・・・・ッ!!




「Σっていうか私のファースト・・・ッ!!///」


「ほぅ・・・そうか。それは面白い」


「面白くないッ!/// 仮にも乙女に何してくれてんだ!!//」


「フンッ・・・お前がヤツの持ち物を持っているから悪い」



「はぁあぁ・・・・?」


それで人のファースト奪ったって言うんですか・・・!

乙女のファーストを何だと思ってんですか・・・!


っていうか私のファースト・・・、いきなりフレンt(ry



あまりの出来事にショックを隠せない私は

その場に『ジーザス・・・・』と膝をついた



あやは満足そうにソファで本を読みはじめた




どちくしょう・・・・。






----------------------------------------------

ジキル様より、フリーでしたので頂いてきました!

あや様…なんて大胆な…!
読んでてなんかすごくドキがムネムネしまry
いちごアメってとこがまたよかったですねw私いちごアメ大好物です!(聞いてない
アメをあげるクルークも可愛すぎました…!


それではジキル様、素敵な夢をありがとうございました!

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -