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- ナノ -

“なんかいるもんありますか”

 通知欄にたまっていくメッセージに指が動かない。通話ボタンを押すとすぐに繋がった。

「家入さんのところは行きました?」
「朝イチで行った。ただの風邪だから、薬飲んで寝てろって」
「そうですか。今スーパーです。真希さんが必要なもの教えてって言ってます」
「飲み物」
「ゼリーとか? 他には? あ、狗巻先輩がおかゆ作ってくれるそうですよ」
「おにぎりじゃなくて? フフ……棘ちゃんやさしいねえ。めぐちゃん、わざわざありがとう」
「いえ。そろそろパンダ先輩が部屋に来ると思います。あの人風邪うつらないから、暖とらせてもらってください。買ったら帰ります」
「うん。寂しいから早くきて」
「……それ俺にですか?」
「ううんみんなに」

 は〜、とでっかいため息のあと、切りますねとわざわざことわってから切られた。熱で靄のかかったような思考が、すこしずつ晴れていく。なんていうか、寮生活をしている。現在進行形で迷惑かけてるけど。かわいい後輩もできて、同級生はやさしくて、まあ普通の同い年の子よりは変な生活だけど、その分ゆるいところもあって……。と考えているとせっかく晴れた頭のなかが重たくなってくる。枕に頭を落とすと同時に部屋のドアが開いた。「おーい生きてるか?」「パンちゃん」「具合悪そ」「わるいんです」次に起きたときは風邪ひいた人の部屋とは思えないくらいに人がいた。